現在進行形ジャズ・ピアノのトップランナー、ジェイソン・モラン | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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現在進行形ジャズ・ピアノのトップランナー、ジェイソン・モラン

現在進行形ジャズ・ピアノのトップランナー、ジェイソン・モラン

新旧を行き交う"現代のジャズ"

 現在進行形ジャズ・ピアノのトップランナー
ジェイソン・モランが自身のグループで初登場。
伝説的ピアニスト、ファッツ・ウォーラーの楽曲が現代的なサウンドに生まれ変わり、
まさに"進化したジャズ"を体感する一夜となった。

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 現代ジャズの最重要ピアニスト、ジェイソン・モランの来日公演で僕はただただジェイソンのすごさに圧倒されてしまっていた。伝説的なピアニスト、ファッツ・ウォーラーのトリビュートである新作『All Rise: A Joyful Elegy for Fats Waller』をテーマにした今回のライブで突出していたのは、バンドワゴンとの阿吽の呼吸でもたらされる現代的なサウンドであり、ジェイソンのピアノだった。

 1920-40年代に作られたウォーラーの楽曲は解体され、リズムはスウィングジャズやブギウギの香りをかろうじて残しながら、ブレイクビーツへと生まれ変わり、現代のダンスミュージック=ヒップホップとして鳴らされる。

 ジェイソンはストライドピアノを模倣しながらも、自身のピアノをビート化するようにブレイクビーツ的に幾度となくぶつ切りのフレーズをミニマルに反復させていく。時にナシート・ウェイツのドラムと入れ替わるようにピアノがリズム化し、ナシートがまるでメロディーを奏でるように鮮やかなリズムを提示してみせるなど、バンドは自在に形を変えながらグルーヴしていった。

 そんな中でも至る所で光ったのがジェイソンのピアニッシモ。ダイナミックなソロだけでなく、粒のそろった美しい音色を小さく奏でるジェイソンの繊細なピアノのオルゴールのようにノスタルジックで優しい響きが幾度なく客席を包み込んでいた。新しさも懐かしさも柔も剛もすべて併せ持つジェイソンの音楽に僕らは心を躍らせ続けた。

LIVE1
JASON MORAN & THE BANDWAGON
with special guest ALICIA HALL MORAN
ジェイソン・モラン&ザ・バンドワゴン
with special guest アリシア・ホール・モラン
2015 1.18 sun. - 1.20 tue.
Jason Moran (p),
Tarus Mateen (b), Nasheet Waits (ds),
Alicia Hall Moran (vo)

SET LIST
1st
1.FANTASY IN D/2.BIG NEWS / MORE NEWS/3.THE JOINT IS JUMPIN'/4.AIN'T MISBEHAVIN'/5.MILESTONE / BLESSING THE BOATS/6.BODY AND SOULE/7.SUMMERTIME/8.TO BOB VATEL OF PARIS JAKI BYARD/9.JITTERBUG WALTZ / SHEIK OF ARABY/EC.LIFE, LIVE, TIME

2nd
1.FRIDAY THE 13TH/2.PAS DE DEUX/3.BIG NEWS / MORE NEWS/4.HONEYSUCKLE ROSE/5.AIN'T MISBEHAVIN'/6.MILESTONE/7.BLESSING THE BOATS/8.I LIKE THE SUNRISE/9.COME RAIN OR COME SHINE/10.TWELVE / OUR FRONT/11.SHEIK OF ARABY/12.LIFT EVERY VOICE / CREPUSCULE WITH NELLIEEC.SUMMERTIME

photography = Tsuneo Koga
text = Mitsutaka Nagira

柳樂光隆(なぎら・みつたか)
1979年生まれ。ジャズ評論家としてジャズ専門誌や音楽誌を中心に寄稿。2014年にはジャズを解放する2000年以降のジャズガイドブックの第2弾、「Jazz The New Chapter 2」(シンコーミュージック・エンタテイメント)を監修・執筆。第1弾ではジェイソン・モランについても取り上げている。

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