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DONNY McCASLIN

artist DONNY McCASLIN

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

デヴィッド・ボウイの大傑作『★』に参加して幅広い音楽ファンに名を知らしめたサックス奏者、ダニー・マッキャスリンが自身のグループを率いて4年ぶりに来日しています。今回のメンバーは、2019年の公演にも同行したジェイソン・リンドナー(キーボード)とザック・ダンジガー(ドラムス)、さらにマーク・ジュリアナ、ベッカ・スティーヴンス、キアラ・シヴェロ、マックスウェル等の作品に参加しているジョナサン・マロン(ベース)を加えたカルテット編成です。

今回のステージにあたってマッキャスリンが考えたのは、「ロック・ショウのように感じてもらうこと」。背後のスクリーンには数々の幻想的・抽象的なイメージが映し出され、時にカラフルな照明がバンドスタンドを照らし、その中でマッキャスリン、リンドナー、ダンジガーが"いっせいに熱烈なソロをしながら、同時にアンサンブルも構築する"的プレイを繰り広げ、マロンの重低音がそれを支えます。

前回の公演ではマッキャスリンの歌声も聴くことができましたが、今回はインストゥルメンタルで統一。サックス奏者、即興演奏者としての彼が持つすごみが、よりダイレクトに伝わるひと時を満喫しました。エフェクターを活用した音色は変幻自在そのもの、"どんな世界に連れていってくれるんだろう?"とワクワクさせられるアドリブに酔いしれているうちに、時間があっという間に過ぎていきます。長身を折り曲げるようにして繰り広げられるブロウから放たれる超高音フレーズ(フラジオ)は、1940年代にイリノイ・ジャケーやビッグ・ジェイ・マクニーリーが取り組んでいたそれをさらにテクニカルに、メタリックに高速化したものであるようにも感じられました。

演奏曲目は各セットによって異なるようですが、私が足を運んだ初日のファースト・セットは最新作『I Want More』から、目玉曲であろう「Body Blow」、ミニマル・ミュージック的キーボード・フレーズが耳にこびりつく「Magic Shop」、マーチ風のドラム+ダブ的ベースの絡みが悶絶ものの「Fly My Spaceship」等がライヴで届けられました。あの、狂気をはらんだメロディ・ラインやオーケストレーションの数々が、生でプレイされ、こちらの心を揺さぶるのです。ほかにも隠れ名盤『Casting for Gravity』からの「Stadium Jazz」、ボウイとの思い出の一曲「Lazarus」等、名曲・名演のシャワーを浴びているようなひとときでした。

彼らの音楽はジャズ、ロック、エレクトロニカ、ファンク、レゲエなど、いろんな要素が結合したハイブリッドなものです。ということは、あらゆる音楽ファンが喜び、胸を熱くするサウンドであるという可能性も高まってくるはずです。初日からこのテンションなのですから、本日、明日と、さらに驚きの演奏を体験できるに違いありません。しかも今回は、ザックのキック(バスドラ)、マロンのベースなど、ライヴ現場ならではのすさまじい低音を体験することもできます。まだまだ残暑が続きますが、それでも夜の温度はかなり落ち着いてきました。鬼才4人の冴えわたるプレイに全身で浸ることのできる最高のチャンスを、どうかお見逃しなく!

(原田 2023 9.1)
Photo by Takuo Sato

★来日公演は9月2日(土)まで!

DONNY McCASLIN
8.31 thu., 9.1 fri., 9.2 sat.
ブルーノート東京
詳細はこちら

SET LIST

2023 8.31 Thu.
1st
1. LANDSDOWN
2. STRIA
3. MAGIC SHOP
4. FLY MY SPACE SHIP
5. STATELY
6. STADIUM JAZZ
7. BODY BLOW
EC. LAZARUS
 
2nd
1. I WANT MORE
2. LANDSDOWN
3. BREAK THE BOND
4. KEEP IT COMING
5. FLY MY SPACE SHIP
6. BODY BLOW
EC. STADIUM JAZZ

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