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JOYCE MORENO "NATUREZA"

artist JOYCE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

名曲の数々、端麗なヴォーカル、サンバとジャズを絶妙に融合したバンド演奏。"ブラジリアン・ミュージックの女王"ジョイス・モレーノが、4年ぶりに「ブルーノート東京」のステージに涼を運んでいます。共演メンバーは夫君のトゥチ・モレーノ(ドラムス)、ロドルフォ・ストロエテール(ベース)、エリオ・アルヴェス(ピアノ)という不動の顔ぶれ。以心伝心というべきプレイの連続に、心がなごまないオーディエンスはいないはずです。

オープニングの「Samba de Mulher」から4人のパフォーマンスは快調そのもの、「Boiou」ではトゥチがほとんどのパートを2枚のシンバルとハイハットだけでこなします。金物(かなもの)だけで、これほどまでに柔らかいグルーヴを生み出すのは、まさに名手の証といえましょう。ニューヨークのジャズ・レーベル"レザヴォア"からアルバムを発表したことがあるエリオはビル・エヴァンスやハービー・ハンコックへの敬愛がにじみ出るようなアドリブ・プレイを行ない、アストル・ピアソラとの共演経験も持つロドルフォも"エレアコ・ベース"を用いて堅実かつメロディアスなプレイを聴かせてくれました。

続いては、昨年末にリリースされた"古くて新しい一枚"、『Natureza』からの楽曲にスポットが当たります。1977年、ニューヨークを訪れたジョイスが、名匠クラウス・オガーマンの編曲指揮で録音したものの、なぜか未発表となっていた音源が、ついに陽の目を見たのです。この日は「Mistérios」、「Pega Leve」などを聴かせてくれましたが、46年も前に歌われた楽曲が、いま、目の前でその本人によって新たに解釈される瞬間に立ち会えるのは、考えれば考えるほど奇跡的なことです。あらためてジョイスの活動歴の長さ、艶を失わない歌声に驚嘆させられました。また、ギター弾き語りによるソロ・コーナーでは、「Águas de Março」などを披露。リズムの取り方、コード(和音)の選び方も含めて、ブラジリアン・ミュージック~ボサ・ノヴァの弾き語りに取り組んでいるアマチュアや学生のミュージシャンには、最良のテキストになったことでしょう。

やがて3名の男性がステージに戻り、さらなるクライマックスへと突入します。去る7月17日に亡くなったピアノの巨匠ジョアン・ドナートに捧げられたのは、「ブルーノート東京」で共演した時に楽屋で共作したという「E Vamos La」(行きましょう)。アントニオ・カルロス・ジョビン作「Desafinado」やエドゥ・ロボ作「Upa Neguinho」ではエリオの即興もふんだんにフィーチャーされ、やがて"これを聴かなければ、ジョイスのライヴに来た気がしない"的な大定番の「Aldeia De Ogum」や「Feminina」へと続きます。

ジョイスの持つ爽やかさ、涼やかさが満喫できる、実に嬉しいステージは、8月2日まで開催中。常に"旬"のパフォーマンスを、ぜひ至近距離でご覧ください。
(原田 2023 8.1)

Photo by Jun Ishibashi


★来日公演は8月2日(水)まで!

JOYCE MORENO "NATUREZA"
2023 7.31 mon., 8.1 tue., 8.2 wed. ブルーノート東京
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SET LIST

7.31 mon.
1st
1. SAMBA DE MULHER
2. PURO OURO
3. BOIOU
4. MISTÉRIOS
5. TODOS OS SANTOS
6. PEGA LEVE
7. VIVA MEU SAMBA
8. ÁGUAS DE MARÇO
9. E VAMOS LÁ
10. DESAFINADO
11. TODO MUNDO
12. UPA NEGUINHO
13. ALDEIA DE OGUM
14. FEMININA
EC. O MORRO NÃO TEM VEZ
 
2nd
1. SAMBA DE MULHER
2. PURO OURO
3. BOIOU
4. MISTÉRIOS
5. TODOS OS SANTOS
6. PEGA LEVE
7. MEDO DE AMAR
8. ÁGUAS DE MARÇO
9. E VAMOS LÁ
10. DESAFINADO
11. TODO MUNDO
12. UPA NEGUINHO
13. ALDEIA DE OGUM
14. FEMININA
EC. O MORRO NÃO TEM VEZ

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