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MARCOS VALLE & AZYMUTH @COTTON CLUB

artist AZYMUTH , MARCOS VALLE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

真夏の東京で二大グルーヴ・マスターの再会が繰り広げられています。今年で結成50年を迎えるブラジリアン・フュージョンの代名詞"アジムス"(ポルトガル語ではアジムッチと発音するようです)と、1960年代以来、7つのデケイドにわたって強力無比のグルーヴを送り続けるシンガー・ソングライターのマルコス・ヴァーリによる豪華共演です。

ステージはアジムスの演奏から始まりました。去る4月にドラムの名手イヴァン・コンチが他界したことにより、オリジナル・メンバーはベースのアレックス・マリェイロスのみになってしまいましたが、後任のレナート "マッサ" カルモン(ドラムス)、16年リリースのアルバム『Fenix』から加入するキコ・コンティネンティーノ(キーボード)とのプレイは、三位一体という言葉がふさわしい、磨き上げられたもの。とてつもなくメロディアスなところと堅実なところを併せ持つアレックスの弾きっぷりに、リム・ショット(タムの縁を叩く奏法)を効果的に織り交ぜたレナートのドラムが絡み、キコも亡き初代鍵盤奏者ジョゼ・ロベルト・ベルトラミへの敬愛をたっぷりと感じさせるカラフルなフェンダー・ローズやシンセサイザー・プレイで楽しませてくれました。曲によっては3人によるスキャット(ワードレス・ヴォーカル)も聴かせてくれましたが、これがまた、インストゥルメンタル・サウンドに絶妙なスパイスを付け加えてくれます。50周年おめでとう、という気持ちがさらに高まるひとときでした。

アジムス単独の演奏を経て、いよいよマルコス・ヴァーリが、トランペット奏者のジェッセ・サドッキと共に登場します。アジムス(Azymuth)というグループ名は、マルコスの1969年作品『Mustang Côr De Sangue』に収められている楽曲「Azimuth」に由来していますから、つまりマルコスはアジムスの名付け親に相当するのです。共演は、その「Azimuth」からスタートしました。ジェッセはキコ、レナート、マルコスを招いた自身のアルバム『O som de casa』も発表しているブラジル随一のジャズ系トランペッター。この曲ではトランペットのミュートを高速でつけたり外したりするほか、数小節単位でフリューゲルホーンに持ち替えるなど忙しく動きながら、陰影に富むプレイを付け加えていました。

以降、「Samba de Verão」(Summer Samba)のニュー・アレンジ、マルコス夫人であるパトリシア・アルヴィもフィーチャーされた「Mentira」、シティ・ポップ・ファンも大喜びするに違いない「Parabéns (Dança Do Daniel)」など、共演の勢いは止まりません。マルコスがキーボードから生ピアノ系の響きを出すと、キコのキーボードからはハモンド・オルガン系の響きが放たれて絶妙な絡みを届けてくれるかと思えば、ツイン・フェンダー・ローズ編成で音を重ね合わるシーンもあって、見どころ・聴きどころがいっぱい。オーラスでそれぞれの必殺曲である「Jazz Carnival」と「Freio Aerodinâmico」をメドレーにして観客を総立ちにさせるあたり、心憎いほどの選曲の妙です。この夢の公演は本日までコットンクラブで続いた後、10日は恵比寿BLUE NOTE PLACE、11日と12日にはブルーノート東京に会場を移して行なわれます。
(原田 2023 7.9)

Photo by Tsuneo Koga


【LIVE INFORMATION】

★MARCOS VALLE & AZYMUTH
7.8 sat., 7.9 sun. コットンクラブ
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7.10 mon. 恵比寿 BLUE NOTE PLACE
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7.11 tue., 7.12 wed. ブルーノート東京
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