原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

黄金の名コンビ、リー・リトナー＆デイヴ・グルーシンが、久々の来日公演を繰り広げています。会場はもちろん満員、1曲ごとに"待ってました！"ばかりに沸き起こる大きな拍手に改めて彼らの高い人気が伝わってきます。

ふたりは、まだリトナーが10代の頃（つまり1972年以前）、セルジオ・メンデス宅で初めて出会ったそうです。当時のリトナーは新進気鋭のギタリスト、いっぽうグルーシンは大ヒット映画『卒業』のサウンドトラックや歌手アンディ・ウィリアムスの音楽監督としても名を馳せる経験豊富な作編曲家/ピアニストでした。ふたりは年齢差を超えて意気投合し、刺激を与えあいます。そのコラボレーションは77年の『Gentle Thoughts』、グラミー賞に輝いた85年の『Harlequin』、2000年の『Two Worlds』、2008年の『Ampalo』等を経て、今回の来日公演へと継続されています。

9月27日、28日とブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラへのゲスト参加でファンを喜ばせたリトナーとグルーシンですが、その好調を維持したまま、29日から本公演に突入しました。共演は7弦ベースと5弦ベースを弾き分けるメルヴィン・デイヴィス、そしてドラムスのウェスリー・リトナー（リーの息子）。リトナーの"マイ・バディ（相棒、親友）、デイヴ・グルーシン！"という紹介MCにすっかり嬉しくなってしまいます。全員の短いソロをフィーチャーした「The Village」に続いて始まったのは、「Harlequin」。ピアノとギターの息の合ったユニゾンに、カラフルな照明が呼応して、飛び切り贅沢な時間を届けます。続いてはリトナーのライヴの定番ナンバーのひとつ、アントニオ・カルロス・ジョビン作「Stone Flower」。個人的にはサイレント・ギターのショウケースという印象を持っているのですが、この日は前半部分をエレクトリックで演奏し、グルーシンのピアノ・ソロを受けた後半でサイレントを弾きまくりました。続く「バラに降る雨（Chovendo na Roseira）」もジョビンの楽曲で、「Double Rainbow」「Children's　Games」など複数の英語タイトルでも知られていることでしょう。メルヴィンは7弦ベースの高音部を多用し、ヴォリューム・ペダルを使いながらチェロのような響きを醸し出しすほか、「Stolen Moments」ではリトナーのギターとのユニゾンで巧みなスキャットを披露。また、グルーシンはアカデミー作曲賞にノミネートされた映画『チャンプ』から「Letting Go｣をソロ・ピアノで聴かせてくれました。御年88歳、まさに熟成の極致です。

リトナー＆グルーシンのブルーノート東京公演は10月2日まで続きます。今回のツアーのために、ふたりは約20曲のレパートリーを用意しています。どんな名曲がライヴで楽しめるのか、ぜひ楽しみにしてお越しください。

(原田 2022 9.30)

Photo by Takuo Sato

☆リー・リトナー & デイヴ・グルーシン公演は10月2日(日)まで！
LEE RITENOUR & DAVE GRUSIN
2022 9.29 thu., 9.30 fri., 10.1 sat., 10.2 sun.

☆10月3日(月)には、『Being Guitar Summit Vol.10』公演にリー・リトナーがゲスト出演！
Being Guitar Summit Vol.10
featuring 増崎孝司、五味孝氏、柴崎浩、AKIHIDE
with special guests リー・リトナー
2022 10.3 mon.
※2ndショウでインターネット配信(有料)実施予定