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KYLE EASTWOOD "CINEMATIC"

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ベース奏者として、作編曲家としてさらに躍進を続けるカイル・イーストウッドが、昨日からブルーノート東京で白熱のステージを繰り広げています。プログラムは、映画音楽を題材にした最新作『シネマティック』からのものが中心。レコーディングと同じメンバーが来日して、そこからのレパートリーを生演奏で届けてくれるのです。

メンバーはカイルのベースに、クエンティン・コリンズ(トランペット、フリューゲルホーン)、ブランドン・アレン(テナー&ソプラノ・サックス)、アンドリュー・マコーマック(ピアノ)、クリス・ヒギンボトム(ドラムス)。もはや不動のラインナップといっていいでしょう。オープニングは『007 スカイフォール』からの「Skyfall」。カイルが子供のころから好きだったというホレス・シルヴァーやアート・ブレイキーにも通じるハード・バップ調のアプローチが施されていました。4ビートで力強くスウィングするリズム・セクションにのって、クエンティンやブランドンが伸び伸びとソロを演じます。

カイルはまた、近年のクリント・イーストウッド監督作品に欠かせない作曲家でもあります。この日は『グラン・トリノ』から「Gran Torino」、そしてエレクトリック・ベースとピアノのデュオで『硫黄島からの手紙』から「Letters from Iwo Jima」を聴かせてくれました。

いっぽう、アレンジャーとしての冴えをたっぷり示してくれたのがマーティン・スコセッシ監督映画『タクシー・ドライバー』からの「Taxi Driver」です。"タクシー・ドライバー組曲"と呼びたくなるほどドラマティックな音作りが施されていて、前半はミュート・トランペットやソプラノ・サックスを生かしたスロー・テンポで綴られ、途中でカイルが弓を使いだした頃からマーチ調に。5人のアンサンブルがどんどんクレッシェンドしていき、頂点に達するや否やクリスがラテン風のリズムを打ち始めました。ホレス・シルヴァーの「Moon Rays」に通じるラテン・ハード・バップ的な展開に乗って、またしてもメンバーの快いアドリブが続きます。そしてカイルは再び弓弾きへ。「Taxi Driver」ってこんなに情報量の多い曲だったかな、と思いながら、ぼくはスリリングな気持ちを味わいました。

ほかにもチャールズ・ミンガスの「Boogie Stop Shuffle」(ミンガスの死後、ギル・エヴァンスのカヴァー・ヴァージョンが映画『ビギナーズ』に使われました)、スティーヴ・マックイーン主演映画『ブリット』からラロ・シフリン作「Bullitt」など、極め付きの古典的ナンバーも、しっかりカイル流にリメイクしてのステージ。ジャズと映画音楽の楽しみ双方に浸ることができる公演は14日まで続きます。

(原田 2020 2.13)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2020 2.12 WED.
1st & 2nd
1. SKYFALL
2. THE EIGER SANCTION
3. GRAN TORINO
4. BULLITT
5. LETTERS FROM IWO JIMA
6. TAXI DRIVER
7. BOOGIE STOP SHUFFLE
EC. PINK PANTHER THEME

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