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BOB JAMES & KIRK WHALUM "Joined At The Hip"

artist BOB JAMES , KIRK WHALUM

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


2019年から2020年にかけてのブルーノート東京は、ボブ・ジェームスとカーク・ウェイラムの名コンビによる演奏で年末年始を迎えます。ふたりは一種の師弟関係にして、大の親友でもあります。カークが'85年に発表したデビュー作『Floppy Disk』(当時最先端のタイトルだったはずです)はボブがプロデュースし、彼の"タッパン・ジー"レーベルから発売されました。そして'96年には、双頭アルバム『Joined at the Hip』(タイトルは"一心同体"、"切り離せないほど親密"という意味)を発表、全米ジャズ・チャートのトップ10に送り込みました。先ごろSACDで再発され、この作品に対する再評価が高まっている絶好のタイミングで、ふたりのリユニオンが実現したのです。共演者は『Joined~』にも参加していたクリス・ウォーカー(ベース、ヴォーカル)とビリー・キルソン(ドラムス)、さらにラリー・コリエルから"彼こそフュージョン・ミュージックの未来だ"と称賛された気鋭のウィル・パトリック(ギター)です。

ステージにはまずクリス、ビリー、ウィルがスタンバイし、やがて影ナレーション(MC)に導かれて、万雷の拍手のなかをボブとカークが登場します。笑顔で位置についた彼らが始めたのは、なんと「Touchdown」。ボブが'78年にリリースした同名アルバムからのナンバーで、そこでは若きデヴィッド・サンボーンのアルト・サックスがフィーチャーされていました。しかしこの日はカークがソプラノ・サックスで伸びやかなプレイを繰り広げます。次にはいよいよ『Joined~』から「Kickin' Back」が登場。後半で繰り広げられたカークとボブの掛け合いは"手に汗握る"という表現がぴったりです。やはり同作に入っていた「The Prayer」は、まるで組曲のように多彩な展開をもってプレイされ、カークのブロウはまさに曲名通り、祈りを捧げるかのよう。クリスはベースとスキャットのユニゾンでも異彩を放ちました。エンディングの音が消え去るまでおそらく15分近く、5人はこの曲に浸っていたのではないかと思います。「往年のアルバムからの単なる再演ではなく、"リクエイト"なんだ」とMCで語るボブに、心から納得させられました。

ビリーの超絶的なドラム・イントロから始まったのは、「Maputo」。グラミー賞に輝いたボブとサンボーンの大ヒット・アルバム『Double Vision』からのナンバーです。サンボーンも先日の来日公演でとりあげていましたが(ドラムスはやはりビリーでした)、まるで別の曲のようにアレンジを大きく変えていました。つまりこの日の演奏のほうがオリジナル・ヴァージョンに近いリズム・パターンなのですが、核にボブのアコースティック・ピアノ(キーボードではなく)が位置し、カークがテナー・サックスでメロディを吹く解釈も、実に新鮮です。やがてボブが聴きなれたリズム・パターンをピアノで奏でると、すかさずカークがフルートに持ち替えます。曲は定番の「Westchester Lady」、フォープレイのライヴでもボブの別ユニットでのライヴでも、通常はこのメロディが出たらもうエンディングです。しかし、この日は嬉しいことに、まだ続きがありました。1950年代にバディ・ジョンソン楽団がヒットさせたR&Bナンバー、「Since I Fell for You」を、クリスのヴォーカル・フィーチャーで聴かせてくれたのです。ボブと親しい"歌うベーシスト"といえばフォープレイの同僚であるネイザン・イーストが著名ですが、クリスの滑らかで深みのある歌声もまた絶品。カークも思いっきりファンキーにサックスを鳴らし、超満員のオーディエンスを思いっきり沸かせてくれました。アフリカやアジアのアーティストとのコラボ・アルバム『Humanite』も好評のカークは、今、文字通りのピークにあるようです。

ボブとカーク、名コンビの華麗なプレイは1月2日までブルーノート東京を舞台に続き、4日にはモーション・ブルー・ヨコハマで公演。7日と8日には再びブルーノートに戻り、今度はブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラとのステージを開催予定です。
(原田 2019 12.30)


Photo by Takuo Sato

●BOB JAMES & KIRK WHALUM "Joined At The Hip"
2019 12.29 sun., 12.30 mon., 12.31 tue., 2020 1.2 thu. ブルーノート東京
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2020 1.4 sat. モーション・ブルー・ヨコハマ
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2020 1.5 sun. 名古屋ブルーノート
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●BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA with special guests BOB JAMES & KIRK WHALUM
2020 1.7 tue., 1.8 wed. ブルーノート東京
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SET LIST

2019 12.29 SUN.
1st
1. TOUCHDOWN
2. KICKIN’ BACK
3. KWETU
4. THE PRAYER
5. SEA GODDESS
6. MAPUTO
7. WESTCHESTER LADY
EC. SINCE I FELL FOR YOU
 
2nd
1. TOUCHDOWN
2. KICKIN’ BACK
3. SEA GODDESS
4. THE PRAYER
5. MAPUTO
6. KWETU
7. WESTCHESTER LADY
EC. SINCE I FELL FOR YOU

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