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TILL BRÖNNER "Better Than Christmas" Tour

artist FRANK McCOMB , TILL BRÖNNER

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


スイスに本拠地を置くインタクト(Intakt)は、ぼくの最も注目するレーベルのひとつです。昨年、ここから実に興味深いアルバムが発売されました。タイトルは『Baby's Party』、75歳を迎えたドイツのフリー・インプロヴィゼーション系打楽器奏者ギュンター・ソマーのデュオ・アルバムです。セシル・テイラー、ペーター・ブロッツマン、ワダダ・レオ・スミス、ミシェル・ゴダール等と共演を重ねてきたギュンターが、今回パートナーに選んだのはなんと、ティル・ブレナー。実に楽しそうに生き生きと、フリーでアヴァンギャルドで時にノイジーなプレイを繰り広げるティルに、個人的には相当なインパクトを受けました。

さて今回の来日公演ですが、これまで以上に思いっきりハッピーでエンタテイニングな内容であるといっていいでしょう。副題に"ベター・ザン・クリスマス・ツアー"とつけられているだけあって、クリスマス感や年末感もたっぷり。とびきりメロディアスな楽曲の数々が、ロマンティック&ポップに綴られていきます。オープニングはまず、無伴奏のトランペット・ソロで軽快に「サンタが街にやってくる」。相変わらずの明瞭なトーン、音程の良さに聴き惚れていると、いつしか曲は「Nature Boy」へ移行しています。'40年代にナット・キング・コールが最初にヒットさせたナンバーですが、ティルたちは'70年代にジョージ・ベンソンが流行らせたヴァージョンに通じる、ファンキーな要素を取り入れたアレンジで届けてくれました。リード・ヴォーカルは、プリンスにも才能を評価された米国出身のフランク・マッコムが担当。この曲ではフランクと、オラフ・プーツシーン、ヤン・ミゼーレ、普段はベースを弾くクリスチャン・フォン・カプヘンクストがそれぞれキーボードを担当したのですが(つまり4台の鍵盤が鳴り響いていた)、それらの音が決してぶつかりあったり濁ったりすることなく、有機的かつメロウに(ここがティルの音作りにおいては大切です)機能するあたり、編曲の卓抜さも讃えられるべきでしょう。

「蛍の光」でのティルは、フリューゲルホーンに持ち替えて、メロディを朗々と披露。年季の入った音楽ファンなら、イタリアの伝説的トランペット奏者であるニニ・ロッソを思い出したかもしれません。ティルは太く甘い音はもちろん、驚くほどクリアーな高音も混ぜながら、この楽器からさまざまな魅力を引き出していきます。以降も、フランクがストライド・ピアノ風アプローチを織り交ぜながら弾き語った「Winter Wonderland」、"ぼくらの解釈は「サイレント・ナイト・イン・リオ・デ・ジャネイロ」だね"という紹介の通りサンバにアレンジされた「きよしこの夜」、フランクとティルのツイン・ヴォーカルによるジョージ・マイケルのカヴァー「Last Christmas」などなど、名曲のてんこ盛り。オーラスはティルが書きおろしたクリスマス・ソングを、オラフのアコースティック・ピアノとのデュオで聴かせてくれました。

ティルは2007年に『ザ・クリスマス・アルバム』を発表していますが、彼の"ジャズ・クリスマス"はさらに発展し、品揃えを増やしています。公演は21日まで開催されます。
(原田 2019 12.20)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2019 12.19 THU.
1st
1. NATURE BOY
2. AULD LANG SYNE
3. WINTER WONDERLAND
4. WHAT ARE YOU DOING NEW YEAR’S EVE
5. SILENT NIGHT SAMBA
6. LET IT SNOW, LET IT SNOW, LET IT SNOW
7. BETTER THAN CHRISTMAS
8. ANOTHER DAY
9. LAST CHRISTMAS
 
2nd
1. NATURE BOY
2. AULD LANG SYNE
3. WINTER WONDERLAND
4. WHAT ARE YOU DOING NEW YEAR’S EVE
5. SILENT NIGHT SAMBA
6. LET IT SNOW, LET IT SNOW, LET IT SNOW
7. BETTER THAN CHRISTMAS
8. ANOTHER DAY
9. LAST CHRISTMAS
EC. CHRISTMAS IS NEVER

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