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RON CARTER FOUR Plus FOUR

artist RON CARTER

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

毎年来日してファンを喜ばせてくれるロン・カーター、今回は3年ぶりに"ピッコロ・ベース"を手にしての登場です。これは彼が開発したメロディ楽器で、通常のベースよりも高い音が出ます。'70年代に演奏していた頃は小型の、チェロのようなサイズのピッコロ・ベースを弾いていましたが、近年用いているそれはコントラバス並みのサイズです。バックはドナルド・ヴェガ(ピアノ)、レオン・メイルソン(ベース)、ペイトン・クロスリー(ドラムス)、そして4名の女性チェロ奏者が弓弾きで加わります。題して"フォー・プラス・フォー"。

オープニングは讃美歌の「ABIDE WITH ME」。セロニアス・モンクのアルバム『Monk's Music』でこの曲を知ったジャズ・ファンも多いことでしょう。これをチェロ奏者たちが演奏した後、ジャズメンが合流し、ロン作のスパニッシュ・フレイヴァー溢れる「EL ROMPE CABEZA」へ。ロンはピッコロ・ベースでメロディを弾き、アドリブをとり、他の楽器のソロにオブリガート(合いの手)を加えます。弾いていないときは、他のメンバーと視線をあわせながら、細かな指示を出します。続いてはロンの初期を代表する自作で、ハービー・ハンコックの名盤『Speak Like A Child』にも入っていた「FIRST TRIP」。ペイトンの繊細なドラムス、メイルソンの力強いウォーキング・ベース(4分音符中心のベース・ライン)も大きな聴きものでした。

昨年、東京文化会館で行われた溝口肇との共演コンサートでも披露されたロンのオリジナル曲「DESERT WIND」は、チェロ四重奏のみによるプレイ。彼の楽曲は格調の高い作風を持つものが多いのですが、ハバネラ風のリズムを導入しつつ、4本のチェロが絡みあい、ハモリながらのパフォーマンスは、まさしくロン・カーターなりの室内楽コンポジションといったところです。やはりロンの作品「EIGHT」は、マイルス・デイヴィスの「SO WHAT」を下敷きにしたナンバー。この夜、最も躍動的にドライヴした1曲といえましょうか。ロンはアドリブに「白鳥の湖」(チャイコフスキー)、「山の魔王の宮殿にて」(グリーク)、「ダッタン人の踊り」(ボロディン)などのメロディを次々と引用し、そこにチェロ・アンサンブルが「モートン・グールドのパヴァーヌ」のメロディを奏でつつ重なります。鍵盤の端から端まですべて弾き切るかのような、ヴェガのスケール感豊かなプレイも強い印象を残しました。

オーラスでロンはピッコロ・ベースを離れ、通常のベースを手にしました。彼のベース+チェロ四重奏でプレイされたのはなんと、「フォーレのパヴァーヌ」。クラシックを奏でるときのロンは、いつにも増して嬉しそうです。ところで'80年代のインタビューだったと思いますが、「新旧のミュージシャンと夢のバンドを組むとしたら?」という質問に、ロンは「ヒューバート・ロウズ、ローランド・ハナ、ルイス・ナッシュがいいね」と答えています。その理由は、「ロウズとハナはクラシック音楽に精通していて、ナッシュは小音量でも的確なドラム・プレイができるから」とのこと。今回の"フォー・プラス・フォー"もまた、ロンにとってのドリーム・バンドのひとつであることに間違いはないはずです。

(原田 2019 12.4)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2019 12.3 TUE.
1st
1. ABIDE WITH ME ~ EL ROMPE CABEZA
2. FIRST TRIP
3. LITTLE WALTZ
4. DESERT WINDS
5. EIGHT
6. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
EC. PAVANE
 
2nd
1. ABIDE WITH ME ~ FIRST TRIP
2. A BLUES FOR BRADLEY
3. LOOSE CHANGE
4. A SONG FOR YOU
5. SONG FOR A FRIEND ~ ALL BLUES
6. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
EC. PAVANE

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