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CANDY DULFER "A celebration: 50 years saxy"

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

10代の頃から熱い注目を浴びて、この9月でめでたく50歳に。長期間にわたって音楽シーンの表街道を走る"ファンキー・サックスの女王"キャンディ・ダルファーの5デイズ10セット公演が昨日から始まりました。このライヴは当初、父親のハンス・ダルファーとの共演が予定されていました。しかし体調を崩し(入院・手術を経て、現在は自宅療養中とのこと)、今回はキャンディの単独公演に。「来年はハンスの80歳バースデーも兼ねて、ぜひ日本で共演セッションを行いたい」ということでした。

「こんばんは、東京に戻ってこれてとても嬉しいです」というキャンディの日本語MCに続いて始まったのは「DO WATCHU LIKE」。ヴォーカルのイヴァン・ペロティとカミロ・ロドリゲス、キーボードも兼ねるジョーディ・カルフスヴェル、そしてキャンディが一緒にハモリながら歌い、キャンディとは30年来の演奏上のパートナーであるウルコ・ベッドが歯切れ良いギター・カッティングを聴かせます。続いては父ハンス・ダルファーの代表曲「MICKEY MOUTH」をショート・ヴァージョンで。ハンスはテナー・サックス奏者ですが、キャンディはもちろんアルト・サックスで彼女なりのアレンジを加えて楽しませてくれました。「私にとってパスポートのような曲。この曲の成功で、アムステルダムから世界に進出することができました」という前置きから始まったのは、ライヴでプレイされないことはないといってもいい大定番「LILY WAS HERE」。ウルコとの掛け合いは、いうまでもなくエモーショナルです。

キャンディは来日前、フェイスブックやインスタグラムでリクエストを募集していました。バラード曲の割合が多めだったので、「日本のファンはロマンチックだな」と思ったそうです。そこで今回、新たな趣向としてバラード・メドレーのコーナーが加えられました。といっても静かなスロー・テンポものを続けるというよりは、いわゆるシティ・ポップ的な、アーバンな感じで進むのがキャンディらしいところといえましょうか。ファルセットを交えた、イヴァンとカミロの洗練された歌声も大きな聴きどころでした。後半は「LILY WAS HERE」と並ぶキャンディのシグネチャー・チューンである「PICK UP THE PIECES」と「SAX-A-GO-GO」を立て続けに。ドラムスのニーク・デ・ブラウン(オランダのモダン・ジャズ界でも活躍しています)と向かい合ってのデュオ・パートは猛烈な迫力。演奏の展開に見事にフィットした照明にも惜しみない拍手を送りたいと思います。

それにしてもサックスを吹き、MCをし、歌い、ダンスし、ハンドクラップを行い、バンドに指示を与え、とにかくキャンディは一瞬もじっとしていません。なんとタフなのでしょう。それでいてエレガントで、もちろんフレンドリー。音楽家として、エンターテイナーとして、磨きをかけ続けるキャンディ・ダルファーのステージは19日まで続きます。

(原田 2019 11.16)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2019 11.15 FRI.
1st & 2nd
1. DO WATCHU LIKE
2. MICKEY MOUTH
3. LILY WAS HERE
4. WHAT U DO
5. I CAN'T MAKE YOU LOVE ME
6. FOR THE LOVE OF YOU
7. EUROPE
8. TOGETHER
9. PICK UP THE PIECES
EC. SAX-A-GO-GO

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