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GONZALO RUBALCABA & AYMÉE NUVIOLA "Viento y Tiempo"

artist GONZALO RUBALCABA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

かねてから話題を集めていた新プロジェクトが、ついにここ日本から発進しました。ピアノ奏者ゴンサロ・ルバルカバと歌姫アイメー・ヌビオラ・・・・・・キューバ音楽のアンバサダーというべきふたりによる"Viento y Tiempo"(風と時間)のワールド・プレミア・パフォーマンスです。

このプロジェクトは友人であるふたりが、改めて自分たちのルーツに取り組むというもの。キューバン・ミュージックの歴史的ナンバーの数々が、鮮やかに今日に蘇ります。開演前には"Viento y Tiempo"の簡単な説明がスクリーンに映写されました。キューバの風景、プロジェクト発足のいきさつ、ゴンサロやアイメーのなごやかな表情を見聞きしているうちに、ますますライヴへの期待が高まります。

ゴンサロは白いスーツ、赤いネクタイで登場。アイメーもキラキラしたドレス、ふくらみのある髪型ですごくおしゃれです。オープニングは、まさかの「CHAN CHAN」。映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の中でコンパイ・セグンドが歌い、一躍有名になったナンバーですが、これをまさかゴンサロとアイメーのコンビネーションで聴けるとは。アイメーの歌声は強力無比、ゴンサロはこのライヴのために用意されたベーゼンドルファーのピアノから驚異的なまでに"立った音"を放ちます。ワールド・デビューから約30年、当初は空間を音で埋め尽くすかのような超絶ソロ・プレイで話題を集めたところもあった彼ですが、今回は歌伴の巧者ぶりをたっぷり味わわせてくれます。ヴォーカルと会話するように紡がれるコード(和音)、ヴォーカルの合間に絶妙に入り込む単音オブリガート(合いの手)の美しさと余韻。"ゴンサロって、こんなにサポートがうまいのか!"と、ぼくはひきつけられるばかりでした。

近年アンジェリーク・キジョーやオルケスタ・デ・ラ・ルスもトリビュートして再評価高まるセリア・クルースの楽曲「BEMBA COLORA」を、"セリアの再来"との声も高いアイメー(彼女もセリアに捧げた『El Regreso A La Habana』を出しています)の歌で聴ける喜び。ルイ・アームストロングや榎本健一もとりあげた1927年の楽曲「EL MANISERO」(南京豆売り)の、時代を超えた新鮮さ。アイメーは奔放なスキャットもおりまぜ、ゴンサロはハーモニーを拡張するかのような大胆な即興を繰り広げます(なんだかこの日の彼は、これまで自分が聴いたどのステージよりも、ハービー・ハンコックからの強い影響を感じさせてくれました)。彼は始終、優しい笑顔を浮かべ(なんと途中ではMCも行ないました。いわゆる"ジャズ"をプレイするときのゴンサロは、一切メンバー紹介も曲紹介もしなかった記憶があります)、アイメーは積極的に観客に語りかけて、コール&レスポンスを促します。曲が進むごとに、オーディエンスは、自分たちが"Viento y Tiempo"の一員になったような気持ちを味わうことでしょう。公演は18日まで開催されます。

(原田 2019 8.17)

Photo by Yuka Yamaji

●GONZALO RUBALCABA SOLO & DUO
with AYMÉE NUVIOLA
2019 8.19 mon. コットンクラブ
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SET LIST

2019 8.16 FRI.
1st & 2nd
1. CHAN CHAN
2. BEMBA COLORA
3. GUARAREY DE PASTORA
4. EL CIEGO
5. ROMPIENDO LA RUTINA
6. EL MANISERO
7. VIENTO Y TIEMPO
EC. LAGRIMAS NEGRAS

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