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LAUREN DESBERG

artist LAUREN DESBERG

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

ボストンのバークリー音楽院でグレッチェン・パーラトに師事。晴れた青空のように明瞭な歌声、幅広い楽想で人気上昇中のローレン・デスバーグが最新作『アウト・フォー・デリバリー』を携えてブルーノート東京に再登場中です。

バンド・メンバーが先に演奏を始め、やがて本日の主役が登場します。「これはずいぶんしゃれたR&Bだな」と、伴奏陣の織りなすコード(和音)やシンコペーションに耳を傾けていると、絶妙なタイミングでローレンが歌い始めます。なんとその曲は、1938年に書かれ、ビリー・ホリデイやジュディ・ガーランドなど数々の伝説的シンガーの名唱でも知られる「You Go to My Head」。比較的最近ではドラムスのヨッケン・ルッカートの「コットンクラブ」公演でも驚きのアレンジで演奏されていましたが(サックスはマーク・ターナー)、日本では必ずしもスタンダード・ナンバーの仲間入りをしているとはいえない古典をとりあげ、それを現代的・個性的に届ける技量に圧倒されました。

シンガー・ソングライターとしての一面を開花させた『アウト・フォー・デリバリー』からは、「Falling Dominos」「Yes Unless」「Alone in Love」等を次々と披露。ローレンはバンドスタンドの端から端まで動いてオーディエンスに目線を送り、時に大きく腕を伸ばして、メリハリに富んだ歌唱を繰り広げます。ピアノは前回来日時と同様、マチス・ピカール(フランスのグルノーブル出身)が担当。"まるでフレッド・アステアが鍵盤上でダンスをしているよう"と評される軽快なタッチは今回も冴えわたり、創意に富むアドリブはもちろん、内部奏法(ピアノの弦を使う)、キーボードとの同時演奏でも存在感を発揮していました。こんどはぜひ彼自身のユニットによる来日公演も期待したいものです。

前述「You Go to My Head」や、ファッツ・ウォーラーからポール・マッカートニーまで数々の巨匠が歌っている「I'm Gonna Sit Right Down and Write Myself a Letter」や、ピアニストのビル・エヴァンスが名演を残した「Never Let Me Go」など20世紀のスタンダード・ソングブックを新鮮に響かせるアレンジ能力、そして普遍的なポップ性を感じさせる書き下ろし曲。その両方が今のローレンには、じつにいい感じで共存していると思います。「最高のメンバーと共に、最高のオーディエンスの前で音楽を表現できて幸せ」と語る彼女のライヴ・パフォーマンスを、ぜひお楽しみください。

(原田 2019 7.8)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2019 7.7 SUN.
1st & 2nd
1. YOU GO TO MY HEAD
2. FALLING DOMINOES
3. LIE TO ME
4. YES UNLESS
5. ALONE IN LOVE
6. THE WAY YOU FEEL INSIDE
7. I’M GONNA SIT RIGHT DOWN
8. NEVER LET ME GO
9. YOU REMIND ME
10. SOMETHING WRONG WITH ME
11. CAN’T STOP THE SHOW
EC. I WANNA BE LIKE YOU

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