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CINDY BLACKMAN SANTANA GROUP featuring ZACCAI CURTIS, AURÉLIEN BUDYNEK & FELIX PASTORIUS

artist CINDY BLACKMAN SANTANA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


「ドラムの快感」に、ひたすら酔いしれるひとときでした。ある時は豪速パンチを浴びせるかのように、またある時はその場の空気すべてを優しく包み込むかのように。ドラムの響きがしっかり中心に位置し、バンド・サウンドを勢いよく牽引していきます。

シンディ・ブラックマン・サンタナのパワーとエナジーあふれるステージが、昨日から始まりました。彼女は8歳からドラム演奏を始め、アラン・ドーソン(トニー・ウィリアムスの先生)に師事。'80年代後半にデビューした時は、どちらかというとアコースティック・モダン・ジャズの世界で才能を発揮していましたが、'90年代初頭にレニー・クラヴィッツのバンドに参加したあたりからさらに活動の幅を広げ、2010年からはカリスマ・ギタリスト、カルロス・サンタナの公私ともにパートナーとして現在に至っています。ブルーノート東京への登場は、2008年にジャック・ブルース、ジョン・メデスキ、ヴァーノン・リードと組んだプロジェクト"トニー・ウィリアムス・ライフタイム・トリビュート"以来。今回の公演に先立つ5月7日にはcafe104.5でドラム・クリニックを開催し、指導者としてのすぐれた一面も見せてくれました。

共演はフランス・ボルドー出身でミシェル・ンデゲオチェロやスティングとも共演したオーレリアン・バディネック(ギター)、ステフォン・ハリスとクリスチャン・スコットのプロジェクト"90マイルズ"のメンバーでもあったザッカイ・カーティス(フェンダー・ローズ、シンセサイザー)、伝説の天才ジャコ・パストリアスの息子でイエロージャケッツにも所属経験のあるフェリックス・パストリアス(6弦ベース)。ジャズ・ロック、テクニカル・フュージョン、ジャム・バンド等を愛するファンの心をつかんでやまないサウンドだと思います。シンディのプレイは、トップ・シンバルを刻みながら細かなフィルを入れ、メロディ奏者のプレイに機敏に反応しながらバンド全体を煽り立てていくというもの。とにかく他人の音を注意深く聴いて絡み、煽り、盛り上げます。フェンダー・ローズにエフェクターを通したザッカイのアプローチ、ジョン・マクラフリンやアラン・ホールズワースなどトニー・ウィリアムス・ライフタイムの歴代ギタリストを敬愛しているのであろうオーレリアンのつま弾きも爽快でした。シンディのプレイは、バンド全員で演奏している時でもドラム・ソロをしているように聴こえるほど華やかですが、そのドラム・ソロがまた絶品です。「Water Babies」(ウェイン・ショーターの作曲)のエンディングでは約10分にわたって、華麗というしかないソロを展開。音程の違う2つのタムタムと3つのフロアタムを自在に操りながらの叩きっぷりは猛烈に力強く、しかも、メロディアスです。レギュラー・グリップで、あの音の強さと速さ。バディ・リッチが生きていたら、どんな賞賛の言葉をかけていたことでしょうか。

6月初旬には、やはりトニー・ウィリアムスを尊敬するサイモン・フィリップスが、奇しくもこのシンディ公演と同じ楽器編成のユニットで登場します。ドラム・ファンはもちろん、リズムやグルーヴに関心のある方であれば、どちらの公演も必見必聴。ぜひ来場し、聴きくらべていただきたいものです。シンディの公演は10日まで行なわれます。
(原田 2019 5.9)


Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2019 5.8 WED.
1st
1. THE BLUE WHALE
2. CURIOSITY
3. MUSIC
4. WATER BABIES
5. THE ONE
6. VASHKAR
 
2nd
1. CANTOOK
2. IN A SILENT WAY
3. PORTIA
4. WE CAME TO PLAY
5. BLUE IN GREEN
6. WALKIN’
EC. ALL I WANT

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