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ALFREDO RODRIGUEZ TRIO presented by QUINCY JONES PRODUCTIONS

artist ALFREDO RODRIGUEZ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


4月30日に行なわれたブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラのインターナショナル・ジャズ・デイ記念ライヴに、アンドレア・モティスと共にゲスト参加。鮮やかなピアノ・プレイで観客を沸かせたアルフレッド・ロドリゲスの単独公演が、昨日から行われています。

初日はあいにくの大雨でしたが、場内は溢れそうなほどのオーディエンスで大変な熱気です。メンバーはブラジル出身のムニール・ホッスン(ベース、ギター)、キューバ出身のマイケル・オリヴェイラ(ドラムス)という、不動のトリオ。超絶技巧とエンタテインメント性を併せ持つ3人が創り出す世界は雄大そのもの。狭いジャンルやカテゴリーを軽々と飛び超えながら、我々を音楽の旅へと連れ出してくれます。ホッスンはベースの他、スタンドに装着されているギターも演奏するのですが、前回はアコースティック・ギターだったのに対し、今回はエレクトリック・ギターを操ります。ベースからギターへの切り替えの早さはまさしく"秒速"。さらにベース・ソロとヴォーカルのユニゾンという、リチャード・ボナばりの技も聴かせてくれました。ロドリゲスはハーモナイザーを使ったひとりコーラスを効果的に用いつつ、リリシズムとダイナミズムの間を行き来するような鍵盤さばきを披露。立って踊りだしたり、オリヴェイラのところに行って彼とドラムスを叩き分けるシーンもありました。

セットリストには「Dawn」、「Yemayá」、20世紀に生まれた古典「Ay, Mamá Inés」(伝説のキューバ人ピアノ奏者ボラ・デ・ニエーベの十八番ですが、モダン・ジャズ・ファンにはチャーリー・パーカーの演奏が印象に残っていることでしょう)、「Besame Mucho」など昨年の公演と共通する演目もあったものの、解釈はさらに奔放に、縦にも横にも膨らみを増している印象を受けました。「Yemayá」はおそらく20分はプレイされていたと思いますが、"いったい何曲分の要素が入ってるんだ?"と驚かずにはいられないほど構造は多種多彩。3人がタテノリのリズムで乗りまくるかと思えば、まるで讃美歌を聴かせるかのような無伴奏ソロ・ピアノ・パートも出てきて、再び3人揃ってすさまじい演奏が始まったかと思ったらロドリゲスは猛烈な速さで一定の高音フレーズを繰り返します。機械のようにリピートされる右手の高速高音フレーズ(よく指がもつれないものです)、一定ではなく自由に動き回る左手の低音フレーズ。一度でもピアノに触ったことがある者なら、口をあんぐりして呆然とするしかないのでは・・・と思うほど壮絶なパッセージでした。

オーラスは、打楽器奏者ペドリート・マルティネスと組んだ最新アルバム『デュオローグ』から「Super Mario Bros 3」。もちろん日本が誇るゲーム・シリーズのテーマ・ソングです。ぼくは学生の頃「マリオ」をプレイすると、フレーズの合間にマンボよろしく"ウッ!"という掛け声をはさみたくなったものですが、ロドリゲス、ホッスン、オリヴェイラは軽やかなカリプソ調として解釈。オーディエンスも盛大な手拍子で3人のパフォーマンスを引き立てました。公演は本日も開催されます。
(原田 2019 5.2)
Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2019 5.1 WED.
     
1st
1. DAWN
2. BESAME MUCHO
3. YEMAYÁ
4. AY, MAMÁ INÉS
5. BLOOM
6. THRILLER
EC. SUPER MARIO BROS 3
 
2nd
1. DAWN
2. BESAME MUCHO
3. YEMAYÁ
4. AY, MAMÁ INÉS
5. AFRICA
6. BLOOM
7. THRILLER
EC. SUPER MARIO BROS 3

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