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EDDIE PALMIERI SALSA ORCHESTRA

artist EDDIE PALMIERI

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


まだまだ寒さの残る毎日ですが、ブルーノート東京では白熱のライヴを体験することができます。ラテン・ピアノのカリスマ、エディ・パルミエリがサルサ・オーケストラを率いて圧倒的なプレイを繰り広げているのです。昨年も『Mi Luz Mayor』と『Full Circle』と傾向の異なる2作品をリリース、その創造意欲には磨きがかかるばかりです。

バンドスタンドには所狭しとさまざまなパーカッションが置かれていますが、プログラムはまずパルミエリのソロ・ピアノから始まりました。抒情的なメロディと強烈なタッチで観客を魅了した後、いよいよ他のメンバーが合流し、リズミカルな"音の宴"が始まります。メンバーはトレスの重鎮ネルソン・ゴンサレス(ファニア・オールスターズ、ティピカ73、ラリー・ハーロウ率いるオーケストラ・ハーロウ等でも腕を磨きました)、マラカスを振りながら歌う姿がすごく絵になる背の高いヴォーカリストのエルマン・オリベーラ、ハイノート(超高音)を楽々とヒットするトランぺッターのジョナサン・パウエルなど、選りすぐりのメンバーばかり。"これこそまさしくアフロ・カリビアン・ビッグ・バンドなんだ"とMCでパルミエリは語っていましたが、音の厚み、押し寄せてくるようなリズムが快感のひとことに尽きます。そしてその音の渦の中から、ひときわ鮮烈にこちらの耳に飛び込んでくるのが、メロディ楽器とリズム楽器の双方を兼ねているがごとくプレイされるパルミエリのピアノです。左手だけを使って中低域中心のソロを披露した後、右手を加えてオクターヴ・ユニゾンに移行したり、合いの手のような掛け声をあげて"間"をたっぷりとったアプローチをしたり。彼は愛用のコンパクト・グランド・ピアノを自由自在に操ります。

バンドにセットリストは基本的になく、何が演奏されるかは、そのときのパルミエリの気分で決まります。なにしろ60年以上のキャリアの持ち主なので、レパートリーは無尽蔵です。それにしっかり対応し、即座に第一級の演奏にしてしまうメンバーのスキルの高さにも改めて感服させられます。個人的には、'60年代からのレパートリーである「Lindo Yambu」がプレイされたことにガッツポーズをとりたくなりました。パルミエリ、ゴンサレス、オリベーラが逞しいユニゾン・ヴォーカルを聴かせ、そこにジョナサンのハイノートが絡みます。そのハイノートを重厚なトーンで支えるのが、ジミー・ボッシュとジョー・フィードラーの2トロンボーンです。伝説のバンド"ラ・ペルフェクタ"の頃からトロンボーンをフィーチャーしてきたパルミエリのお眼鏡にかなっただけあって、両者ともさすがのテクニシャンにして、猛烈によく歌うソリストでもあります。

ぼくが足を運んだのは初日のファースト・セットですが、サルサ・オーケストラのパフォーマンスは本日以降も一層の熱気を加えていくことは間違いないところでしょう。公演は12日まで続きます。
(原田 2019 4.10)


Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2019 4.9 TUE.
1st
1. MONICA
2. LIFE
3. AJIACO CALIENTE
4. LINDO YAMBU
5. MUÑECA
6. COLOMBIA TE CANTO
7. OYE LO QUE TE CONVIENE
8. COMPARSA DE LOS LOCOS
 
2nd
1. SUJETATE LA LENGUA
2. PA’ HUELE
3. PA LA OCHA TAMBO
4. AZUCAR
5. COMPARSA DE LOS LOCOS

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