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BLUE NOTE plays BLUE NOTE featuring TAKUYA KURODA, AKIHIRO NISHIGUCHI, MAY INOUE, AI KUWABARA, JUN MIYAKAWA, RYUTA TSUNODA[mononkul], SHUN ISHIWAKA with special guest JAMES FRANCIES (1.21 mon.), TONY ALLEN (1.22 tue.)

artist JAMES FRANCIES , 井上銘 , 宮川純 , 桑原あい , 石若駿 , 西口明宏 , 角田隆太 , 黒田卓也

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

創立80年の名門レーベル"ブルーノート"に残された楽曲を、気鋭ミュージシャンがブルーノート東京で演奏する好評企画「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」が久々に開催されています。

オープニングはブルーノートにアルバム『Rising Son』を残す黒田卓也(トランペット)、西口明宏(テナー・サックス)、宮川純(ピアノ)、角田隆太(ベース)、石若駿(ドラムス)による「Maiden Voyage」(ハービー・ハンコック作、1965年)。テーマ・メロディの前にファンファーレ風のフレーズを付け加え、リズムもハーモニーも自在に変化させながら、5人のミュージシャンはスピード感あふれる航海を繰り広げます。続いては井上銘(ギター)をフィーチャーした「Midnight Blue」(ケニー・バレル作、1963年)。原曲とは一味異なる、ワルツのフィーリングを生かした漂うような音作りに才気が光ります。宮川の重厚なオルガン・プレイも大きな聴きどころでした。桑原あい(ピアノ)は「Cleopatra's Dream」(バド・パウエル作、1958年)を演奏。内部奏法(ピアノの弦を操作する)も用いた無伴奏の導入部から、ベースとのユニゾンによるテーマ・メロディに移ってゆく展開も実にスリリングでした。

とにかく、"20世紀の伝説的巨匠にただひれ伏すばかり"とか"過去に記録された名演をトレースしてみました"というアプローチがまったく感じられないのです。かわりにあるのは、"この曲を、今の自分はこう解釈する"という無類の頼もしさ。ブルーノート・レーベルという不滅の容器に、次々と新しいワインが注ぎ込まれてゆく過程に立ち会っているような、スカッとした気分になりました。

20日までパット・メセニーの新プロジェクト"SIDE EYE"で登場していたジェイムズ・フランシーズはまず、ブルーノートから出たばかりの話題作『Flight』からの「Sway」を演奏。"どこまで飛翔するんだ"と思えるほどの井上のギターとの掛け合いも、間違いなくこの夜のクライマックスのひとつでした。「Feel Like Makin' Love」が聴けるブルーノート盤といえばマリーナ・ショウの『Who Is This Bitch, Anyway?』(1975年)ですが、黒田はニューヨークのニュー・スクールで学んでいた頃、ディアンジェロの『Voodoo』(2000年)に入っているヴァージョンのかっこよさに大いに感銘を受けたとのことです。この日は宮川がオルガンでメロディを奏で、ジェイムズのキーボードが絶妙な合いの手を入れます。後半、ワン・コードになってからの展開は、まさにグルーヴの嵐という感じでした。そしてラスト・パートは全員揃っての「The Sidewinder」(リー・モーガン作、1963年)、ドナルド・バードがブルーノート盤『Stepping into Tomorrow』(1975年)で初演し、エリカ・バドゥが『Worldwide Underground』(2003年)でカヴァーした「Think Twice」。前者では管楽器2人、鍵盤楽器3人がすさまじいチェイスを繰り広げる場面があり、アフロ・ビート風のアレンジが施された後者では黒田とジェイムズが渾身のソロを繰り広げました。

原曲の強さ、メンバーの今日性、編曲の面白さ。そのすべてを満喫できる絶対のおすすめが「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」です。本日の公演ではジェイムズに替わり、長年にわたってフェラ・クティのサウンドを支えたレジェンド・ドラマー、トニー・アレンがスペシャル・ゲストとして参加します。こちらも必見必聴です。

(原田 2019 1.22)

Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2019 1.21 MON.
1st & 2nd
1. MAIDEN VOYAGE
2. MIDNIGHT BLUE
3. CLEOPATRA’S DREAM
4. SWAY
5. FEEL LIKE MAKING LOVE
6. THE SIDEWINDER
EC. THINK TWICE

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