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TAKUYA KURODA

artist 黒田卓也

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ニューヨークを拠点に世界規模の活躍を続けるトランペッター、黒田卓也が昨日から胸のすくようなステージを繰り広げています。自身のバンドを率いての登場は約2年ぶり。前回、まだ加入して間もなかったクレイグ・ヒル(テナー・サックス)とのコンビネーションは徹底的に磨きぬかれ、アダム・ジャクソン(ドラムス)とラシャーン・カーター(エレクトリック・ベース)の絡みは美味そのもの。ピアノとキーボードは、2016年のBLUE NOTE JAZZ FESTIVALにおけるMISIAと黒田バンドのセッションでも快演した泉川貴広が担当しました。

オープニングは"レッド・スペード・ブラック・ダイアモンド"の頭文字をとった「R.S.B.D」。二人の管楽器奏者はアコースティックな音とエフェクターを通した音を巧みに使い分けながら起伏に富んだソロを演じ、その背後では泉川が変幻自在のハーモニーを送り込みます。ノンストップで続けられたのは「Rising Son」。アダムは1920年代のニューオリンズ・ジャズのドラマーのようにテーマ・メロディの部分のほとんどをドラム・ロールで通し、やがて強烈なシンバル・ワークでソリストを鼓舞します。次に登場したのは、個人的には"待ってました"と声をあげたくなる「Zigzagger」。アフロ・ビートと現代ジャズが手を取り合って前進する・・・そう表現したくなる傑作です。黒田のソロは、伝えたいこと、言いたいことがあふれ出して止まらないといった感じ。途中、何度もマウスピースを唇から離して声をあげ、何かにとりつかれたように激しいトランペットのブロウを繰り広げました。横に立っていたクレイグもその迫力に圧倒されていたかのようでしたが、その後に登場したトランペットとの合奏リフの最終部を受け継ぎながら自らのアドリブに入ると、黒田とはまた好対照をなすクールでアグレッシヴな吹きっぷりを展開。いわゆるテキサス・テナー派にも通じる野太い音色、鮮やかなタンギングで喝采をさらいます。

ステージではその他、来年リリース予定というニュー・アルバムからのナンバーもいち早く聴かせてくれましたが、これまたかっこいいメロディと乗れるベース・ラインが見事にかみあった傑作。「誕生日の2月21日までにはぜひリリースしたい」とのことなので、SNS等、いろんな方向にアンテナを張り巡らせて黒田卓也の最新情報をチェックしたいものです。

火の出るような熱い演奏、爆笑のMC、キャッチーな楽曲。80分超えのステージが、ほんの一瞬に感じられたのはぼくだけではないはずです。5人の猛者は、本日も乗りに乗ったパフォーマンスで満場を熱狂させることでしょう。
(原田 2018 9.21)


Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2018 9.20 THU.
1st
1. R.S.B.D
2. RISING SON
3. ZIGZAGGER
4. NO.2
5. DO THEY KNOW
EC. MOODY
 
2nd
1. R.S.B.D
2. ACTORS
3. FADE 2
4. GOOD DAY BAD HABIT
5. TELL ME A BEDTIME STORY
EC. MOODY

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