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SEUN KUTI & EGYPT 80

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


マグマのように熱く波打つサウンドが夏の東京を彩っています。"アフロ・ビートの父"フェラ・クティのDNAを受け継ぐひとり、シェウン・クティ率いる"エジプト80"の登場です。

シェウンは1982年にナイジェリアで生まれました。やはりアフロ・ビートを継承・発展させているフェミ・クティは異母兄にあたり、20歳もの年齢差があります。フェラは一度も来日しないまま1997年に亡くなってしまいましたが、ブルーノート東京では2003年にフェミのライヴが行なわれ、その後は米国産アフロ・ビートの旗手"アンティバラス"の公演も二度開催されています。そして今回、満を持してシェウンがステージに登場しました。ダンサーも含む大所帯によるパフォーマンスは、見ても聴いても踊っても120%の満足を与えるに違いないものです。押し寄せてくるようなアンサンブル、重厚なポリリズム、ホットなメッセージに富んだ歌詞を、汗だくになって伝えるメンバーたち。全身で音を浴びるカタルシスに包まれました。

バンド演奏の「Kuku Kee Me」(最新作『ブラック・タイムズ』収録曲)が終わった後、"プレゼンテッド・バイ・カラクタ・リパブリック"、"ワン&オンリー"、"チャンピオン"といった言葉と共にシェウンが紹介されます。ステージにかけあがるとほぼ同時に始まったのは「Pansa,Pansa」。父フェラの代表曲のひとつです。フェラは歌の合間にテナー・サックスを吹きましたが、シェウンはアルト・サックス、ヴォ―カル、キーボードを担当します。背が高く、歌⇔楽器の切り替えがものすごく速いです。大評判の『ブラック・タイムズ』からはさらに「Corporate Public Control Department (C.P.C.D.)」「Bad Man Lighter (B.M.L.)」「Struggle Sounds」などが次々とプレイされました。腰に響くバリトン・サックスの重低音、メイクやコスチュームも見事な女性ダンサー&コーラス陣、4名の打楽器奏者が織りなす強烈なビートなどが一丸となってシェウンの演唱をプッシュします。打楽器奏者たちは、いわゆる持ち替えをしません。オコン・イヤンバはワン・ステージじゅうシェケレ(西アフリカ起源の楽器で、ひょうたんの周りにビーズや貝などを通した網を張る)を振って、しかもほとんどの時間、それを左手だけでドリブルをするように操り、右手は拳をつきあげています。フェラのバンド(アフリカ70、エジプト80)にも在籍経験のあるワレ・トリオラは、長方形の木製の打楽器を棒でひたすら打ち付け、晩年のフェラと共演したことのあるコラ・オナサンヤはその名も"ジャイアント・コンガ"に全神経を注ぎます。とにかく誰も彼も、尋常ではない音の太さです。

公演は2日まで行なわれます。今回のヴェニュー(演奏会場)はブルーノート東京のみ、夏フェスへの出演は一切ありません。シェウン・クティ&エジプト80による、魂のパフォーマンスをぜひご堪能ください!
(原田 2018 8.1)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2018 7.31 TUE.
1st & 2nd
1. KUKU KEE ME
2. PANSA PANSA
3. CORPORATE PUBLIC CONTROL DEPARTMENT (C.P.C.D.)
4. BAD MAN LIGHTER (B.M.L.)
5. STRUGGLE SOUNDS
6. BLACK TIMES
7. THEORY OF GOAT AND YAM

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