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ELIANE ELIAS

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


流麗なピアノ・プレイ、やさしい歌声、気さくなキャラクター。不動の人気を誇るグラミー・ウィナー、イリアーヌが今年も心暖まるステージを繰り広げています。メンバーは前回同様、夫君のマーク・ジョンソン(伝説のピアニスト、ビル・エヴァンスが最後に共演したベース奏者)、ティアゴ・ミシェリン(ウルグアイのピアニスト、ナンド・ミシェリンを父に持つドラム奏者)とのトリオ。気心の知れたメンバーと共に、各曲を時に軽やかに、時にしっとりと楽しませてくれました。

オープニングは、人気ミュージカルの楽曲に取り組んだ最新作『Man of La Mancha』からの「To Each His Dulcinea」。ミュージカルの邦題は『ラ・マンチャの男』、日本では現・ニ代目松本白鸚(松たか子の父)の主演作品として'60年代後半から親しまれてきました。あまりジャズ畑では取り上げられてこなかった作品であり曲であるという印象がありますが、イリアーヌはサンバのフィーリングを加えながら指を鍵盤に走らせます。この一曲で観客の心をすっかり掴んでしまったといっていいでしょう。

近年はステイシー・ケントとのコラボレーションでも話題を集める重鎮ギター奏者ホベルト・メネスカウ(ロベルト・メネスカル)が書いた「Você」を演奏する前には、"VocêとはYouという意味です。日本語では何というのかしら?"と問いかけます。"あなた"という声が客席から返ってくると、エンディング近くでは"あなた"というフレーズを何度も歌詞に盛り込んで、一層大きな拍手を集めました。

その他、"この曲ではスパニッシュ・キャラクターでプレイするわ"と言いながら最新作のジャケット同様に赤い髪飾りをつけて演奏した「The Impossible Dream」、'60年代のロック・バンド"ザ・ドアーズ"のヒット曲でホセ・フェリシアーノの十八番でもある「Light My Fire」と自作「Catching Fire」を合わせたスリリングなメドレー、近年の定番レパートリーである「Desafinado」(アントニオ・カルロス・ジョビンの歴史的ナンバーを、さまざまなムードやテンポで聴かせる組曲調のアレンジです)などを堪能させてくれました。もちろんマークはさすがの存在感を示し(ベースの胴体を叩きながら演奏するパートでは一層オーディエンスを沸かせました)、ドラムのリム(縁)を活用したティアゴのプレイも"歯切れ良い"のひとことに尽きます。

公演は4日(月曜日)まで続きます。ジャズ~ブラジリアン~スパニッシュを横断するイリアーヌの世界を、ぜひライヴでお楽しみください。
(原田 2018 6.2)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 6.1 FRI.
1st
1. TO EACH HIS DULCINEA
2. BRASIL (AQUARELA DO BRASIL)
3. VOCÊ
4. ISSO AQUI O QUE É
5. LIGHT MY FIRE ~ INCENDIANDO
6. THEY CAN’T TAKE THAT AWAY FROM ME
7. COISA FEITA
8. THE IMPOSSIBLE DREAM
9. DESAFINADO
EC. A LITTLE GOSSIP
 
2nd
1. TO EACH HIS DULCINEA
2. BRASIL (AQUARELA DO BRASIL)
3. CHEGA DE SAUDADE
4. SAMBOU SAMBOU
5. AGUA DE BEBER
6. LIGHT MY FIRE ~ INCENDIANDO
7. SÓ DANÇO SAMBA
8. THE GIRL FROM IPANEMA
9. THE TIME IS NOW
EC. A LITTLE GOSSIP

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