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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

"こんなライヴ、見聴きしたことがない!"。

2016年の「コットンクラブ」公演で初めてムーンチャイルドのライヴに接して、ぼくは心から思いました。ソウル・ミュージック、ジャズ、エレクトロニカなどいろんなカテゴリーの音楽への愛情がうかがえる楽曲の数々は"ミクスチャー"というより"メルティング"という言葉を使いたくなるほど耳に優しく、歌のバックで鳴る2台のキーボードの響きは厚みがありつつも爽やか。しかもメンバー全員が管楽器の達人であり、瞬時に楽器を持ち替えて、一糸乱れぬアンサンブルを奏でます。

ひとりで何人分もの活躍を、何食わぬ顔でクールにこなす凄腕集団。そのムーンチャイルドが、ついにブルーノート東京のステージに立ちました。メンバーはステージ上、向かって左からマックス・ブリック(キーボード、アルト・サックス、クラリネット)、赤毛と真っ赤なドレスで輝きを放ちアンバー・ナヴラン(ヴォーカル、テナー・サックス、フルート)、アンドリス・マットソン(キーボード、トランペット)。そこにこれまでの公演同様、ドラマーのイーファ・エトロマ・ジュニアが加わります。彼はドラム専門誌で"エルヴィン・ジョーンズの豊かで暖かな音色、ロイ・ヘインズのスナップを思い出させる"と評された気鋭です。

曲目は「6am」、「Don't Wake Me」、「Run Away」(かわいらしいミュージック・ビデオも必見です)、大人気曲「Cure」等。漂うようなキーボードのコード(和音)、柔らかさの中に強い芯を感じさせる歌声、タイトなリズムが一体となって、聴く者を包み込みます。3人による管楽器の合奏は、まるで口が3つ、腕が6本ついたひとりの人間が演奏しているかのようにシンクロしていました。しかもそれぞれのソロ・パートが、短いながらも実にニュアンスに富んでいるのです。加えてアンドリスは左手で奏でる鍵盤ベースの達人でもあり、いったいどれだけ才能があるのだろうと驚くしかありません。

ロバート・グラスパー、ホセ・ジェイムズ、タイラー・ザ・クリエイターらが賞賛するムーンチャイルド。その魅力的なサウンドの秘密に、ぜひライヴで迫っていただけたらと思います。公演は本日まで。旬の音を、ぜひご体感ください!

(原田 2018 5.14)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2018 5.13 SUN.
1st
1. THE LIST
2. WINTER BREEZE
3. RUN AWAY
4. 6AM
5. EVERY PART
6. THE TRUTH
7. ALL THE JOY
8. SHOW THE WAY
9. THINK BACK / LONG WALK
10. NOBODY
11. CURE
12. BACK TO ME
EC. DON’T WAKE ME
 
2nd
1. THE LIST
2. WINTER BREEZE
3. RUN AWAY
4. 6AM
5. EVERY PART
6. THE TRUTH
7. NOW + THEN
8. THINK BACK / LONG WALK
9. LETT YOU GO
10. CURE
11. BACK TO ME
EC1. WHAT SHALL WE DO
EC2. DON’T WAKE ME

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