LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


Celebrate "International Jazz Day" with BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO with special guests EDMAR CASTANEDA & ALFREDO RODRIGUEZ

artist ALFREDO RODRIGUEZ , BLUE NOTE TOKYO ALL JAZZ ORCHESTRA , EDMAR CASTANEDA , ERIC MIYASHIRO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

毎年4月30日は、ユネスコ制定の"インターナショナル・ジャズ・デイ"です。

世界各地で祝賀イベントが行なわれ、千代田区ワテラスでは27日から30日にかけて屋外イベント「JAZZ AUDITORIA 2018 in WATERRAS」が行なわれました。そしてブルーノート東京でもジャズ・デイを祝し、30日に一夜限りのスペシャル・ライヴが開催されました。ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロと、アルフレッド・ロドリゲス、エドマール・カスタネーダの共演です。日本屈指の凄腕集団、キューバ出身の超絶ピアニスト、コロンビア出身の鬼才ハープ奏者が遂に出会いました。

オープニングはオーケストラのテーマ曲ともいえる「Trains」。小池修のテナー・サックス、本田雅人のアルト・サックスが強い存在感を放ち、強力無比な川口千里のドラムスがソリストを煽り立てます。つづいては今年85歳になる重鎮プロデューサー/アレンジャー、クインシー・ジョーンズの動画コメントが紹介されました。ジャズ・デイを祝い、そして"今の私が世界一好きなピアニストを紹介したい。年齢は離れているが、私には兄弟のように感じられるんだ"と、秘蔵っ子のアルフレッド・ロドリゲスを紹介します。曲はクインシーが'73年に出したアルバム『You've Got It Bad Girl』に入っている「Manteca」。もともとは'40年代後半に、キューバ出身の打楽器奏者チャノ・ポソがメロディやリズム・パターンを考案し、そこにトランペット奏者ディジー・ガレスピーが"サビ"を書き加えたナンバーだそうですが、クインシーはこのラテン・ジャズの古典に"ファンク"や"ワルツ"の要素も加えて編曲しなおし、前述のアルバムに収めたのでした。レコードではジェローム・リチャードソンがソプラノ・サックスを吹いていましたが、この日は近藤和彦が熱演。村田陽一のトロンボーンも圧巻でした。そしてロドリゲスはオクターヴ奏法やトレモロを活用して、飛翔するようなロング・ソロを繰り広げました。クインシーがらみではもう一曲、「Soul Bossa Nova」もプレイされました。原曲に出てくるクイーカは登場しませんでしたが、本田と近藤がピッコロでユーモラスにメロディを奏で、それがトロンボーン・セクションの重低音と快いコントラストを生み出します。普段トリオでの活動が多いロドリゲスにとって、オーケストラとの共演は新鮮な体験だったのではないでしょうか。

次にもう一人のゲスト、エドマール・カスタネーダが登場します。日本では上原ひろみとのデュオで一気にブレイクした感がありますが、音楽監督のエリック・ミヤシロは数年前にエドマールとサンパウロのオーケストラ(おそらくJazz Sinfônicaのことでしょう)の共演を視聴して感銘を受けて以来、ずっとこのハープ奏者との共演を夢見ていたとのことです。エドマールは愛用のコロンビアン・ハープを持って通路からステージにあがり、一呼吸おいてから猛烈なプレイを始めました。楽曲は彼のファースト・アルバムのタイトル曲でもある「Cuarto de Colores」。無伴奏ソロのパートと、オーケストラとの合奏パートを巧みに織り交ぜながら、情熱的かつシンフォニックな音作りを演出します。あるときはなでるように弦を扱い、あるときはかきむしるように両手を弦に滑らせる・・・まるで魔術のような指さばきでした。

コロンビアの国民的シンガー(キューバのオマーラ・ポルトゥオンドに匹敵する存在)、レオノール・ゴンサレス・ミナの代表曲「Mi Buenaventura」を合奏した後も、続演を求める拍手はやみません。ステージに登場したのは、ゲストのふたり。曲はまさかの、チック・コリア作「Spain」です。ぼくは"たしかコロンビアン・ハープは半音が出ないはず、どうやってこの曲をプレイするのだ?"と思いながら最初の数分間を過ごしましたが、結果はもちろん杞憂でした。エドマールは弦の下部を強く押すようにしてチョーキングのような効果を生み出し、さらにピアノと一糸乱れぬ高速ユニゾンを何度も何度もキメました。

本日からはエドマールのリーダー・ユニットによる公演が始まります。神秘のハープ・プレイを、ぜひ目のあたりにしてください!

(原田 2018 5.1)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2018 4.30 MON.
1st
1. TRAINS
2. MANTECA
3. EL GUIJE
4. SOUL BOSSA NOVA
5. CUARTO DE COLORES
6. ENTRE CUERDAS
7. MI BUENAVENTURA
EC. SPAIN
 
2nd
1. TRAINS
2. MANTECA
3. EL GUIJE
4. SOUL BOSSA NOVA
5. CUARTO DE COLORES
6. FOR JACO
7. MI BUENAVENTURA
8. DOMINGO
EC1. SPAIN
EC2. BIRDLAND

INDEX