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ALFREDO RODRIGUEZ TRIO presented by QUINCY JONES PRODUCTIONS

artist ALFREDO RODRIGUEZ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

「ブルーノート東京は世界で一番好きな場所だ。またここで演奏できて嬉しいよ」。

キューバ出身の気鋭ピアニスト、アルフレッド・ロドリゲスが昨年に引き続いて圧倒的なステージを繰り広げています。共演メンバーは前回同様、ブラジル出身のムニール・ホッスン(ベース、ギター)、キューバ出身のマイケル・オリヴェイラ(ドラムス)。誰もが大変なテクニシャンであり、エンターテイナーです。手に汗握る高速超絶アンサンブルから、手拍子がごく自然に沸き起こるリズミカルなナンバー、繊細そのもののバラードまで、多彩な曲想でプログラムを構成しています。もちろん3月にリリースされたばかりの最新作『The Little Dream』からの曲もたっぷり届けてくれました。

場内が暗くなると共に、ロマンティックなフレーズが次々とロドリゲスの指先から飛び出します。ピアノと歌声のユニゾンは一糸乱れず、イマジネーションが尽きることはありません。ムニールは楽器を手から離して上を向き、鳥が羽ばたくようなポーズをしながら演奏に聴き惚れています。このまましばらくソロ・ピアノが続くのだろうな・・・と思ったら一気に展開が変わり、3者入り乱れての熱演へ。ムニールはベースのほか、スタンドに装着されたアコースティック・ギターも演奏しながらひとり二役をこなします。「Dawn」、「Bloom」、前作『Tocororo』からの「Yemayá」といったオリジナル曲は、いずれもとんでもない情報量の多さ。ぼくはジャズ、ラテン、クラシック、リンガラ・ポップス、ファンク等の要素を感じましたが、決してとっ散らかったようにはなりません。いろんな音楽的好奇心が、実に快く、エキサイティングな要素を残したまま制御されているのです。ループやハーモナイザーを前回の来日公演以上に活用しているのも大きなポイントでしょう。「Besame Mucho」や「Mama Inez」といった古典的ナンバーにも斬新なアレンジが施され、後者では3人のヴォーカルも聴くことができました。

オーラスではなんと、マイケル・ジャクソンの「Thriller」を演奏。ロドリゲスは2006年に重鎮プロデューサー、クインシー・ジョーンズに認められて世界への切符を手にしましたが、そのクインシーが'80年代に関わった超メガ・ヒット・アルバムこそマイケルの『Thriller』や『BAD』なのです。これまた、"こんな編曲の「Thriller」は聴いたことがない"と断言できる出来。ロドリゲスはアレンジャーとしても進化を続けています。

アルフレッド・ロドリゲス・トリオのライヴは本日まで開催。ロドリゲスはまた、30日に開催されるブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラのインターナショナル・ジャズ・デイ公演にエドマール・カスタネーダと共に登場します。波に乗るピアニストの現在を、ぜひお楽しみください。

(原田 2018 4.29)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2018 4.18 SAT.
1st & 2nd
1. DAWN
2. BESAME MUCHO
3. YEMAYA
4. BLOOM
5. Y MAMA INES
EC. THRILLER

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