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MAKOTO OZONE meets "Free Spirit" - the Norwegian Jazz - featuring ARILD ANDERSEN, TOMMY SMITH, PAOLO VINACCIA

artist ARILD ANDERSEN , PAOLO VINACCIA , TOMMY SMITH , 小曽根真

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


グローバルな活躍を続ける4人が、昨日から新鮮そのもののジャズの響きでファンを魅了しています。小曽根真(日本)、トミー・スミス(スコットランド)、アリルド・アンデルセン(ノルウェー)、パオロ・ヴィナッチャ(イタリア)からなるユニット"フリー・スピリット"です。

小曽根を除くメンバーはアリルドのトリオとしてECMレーベルに『Mira』、『Live At Belleville』、最新アルバム『In House Science』といった力作を残し、2010年の来日時(「ECM フェスティヴァル 2010-2011」)にも鳥肌もののパフォーマンスを届けてくれましたが、4人揃っての演奏はこれが3回目だそうです。小曽根はMCで来日のいきさつを「おととしウォーチェスターのジャズ・フェスで一緒にプレイした後、昨年はノルウェーでライヴを行ない、まるで長い間一緒にプレイを続けてきたような一体感を感じた。この音楽をぜひ日本のファンにも届けたいと考えていたところ、3月末に全員のスケジュールが揃うことがわかった。そこで東京2日間、名古屋1日の公演が決まった」と語りました。また小曽根とトミーは米国のバークリー音楽大学時代から、33年にわたる友情を築いています。ふたりの初共演レコーディングは'86年に録音されたゲイリー・バートンのECM盤『Whiz Kids』。当時の邦題は"神童"でした。'80年代に彗星の如く登場した神童たちが今、成熟を加えながらジャズ界を牽引しているのは胸のすく思いがします。

アリルドはヘッド部分にライオン(?)をかたどったベースを使用。ループを活用しながら"ひとり二重奏"を聴かせたり、ワウを踏み込んだ音で速弾きをしたり、弓によるクラシカルなアプローチを持ち込んだり、まさしく自由自在です。パオロは小型のシンバルを縦に連ねた独特のドラム・セットを用いて、ソリストを煽りに煽ります。トミーのテナー・サックス・プレイはまさしく"千両役者"といったところ。朗々と歌いあげるような一面にヤン・ガルバレクを、フラジオ奏法を混ぜた駆け抜けるような吹奏にマイケル・ブレッカーを思い出したリスナーもいらっしゃるのではないでしょうか。彼はまた、尺八による吹奏も聴かせてくれました。そして小曽根はアブストラクトな面とポップな面の双方を遺憾なく発揮。決して「アリルド・アンデルセン・トリオ+1」ではなく、まさに"フリー・スピリット"というユニットならではの4者一体となった、美しく力強い音のコミュニケーションで満員のオーディエンスを魅了しました。

プログラムはアリルドの書いた「Venise」、「Saturday」、キース・ジャレット(3月21日のカーネギー・ホール・コンサートがキャンセルになってしまいました。全快を祈ります)の古典的楽曲から「In Your Quiet Place」など。東京最終公演となる本日もヴァリエーションに富んだ演奏で聴き手を引き込むことでしょう。31日には名古屋ブルーノートに登場します。
(原田 2018 3.30)

Photo by Takuo Sato

SET LIST

2018 3.29 THU.
1st
1. SCIENCE
2. MIRA
3. VENISE
4. 尺八インプロヴィゼーション 〜 BY GONE
5. DRAGON DANCE
6. HYPERBOREAN
EC. BLUSSY
 
2nd
1. SCIENCE
2. MIRA
3. VENISE
4. 尺八インプロヴィゼーション 〜 BLUSSY
5. HYPERBOREAN
6. DRAGON DANCE
7. SATURDAY
EC. IN YOUR QUIET PLACE

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