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BJ THE CHICAGO KID

artist BJ THE CHICAGO KID

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

多くの才人アーティストをひきつけてやまないワン&オンリーのヴォイスの持ち主、それがBJ・ザ・シカゴ・キッドです。スティーヴィー・ワンダー、ケンドリック・ラマ―、ドクター・ドレ、カニエ・ウェスト、アンダーソン・パーク等の作品に招かれ、自身も名門モータウン・レコーズと契約。2016年のアルバム『In My Mind』(全米R&B/ヒップホップ・アルバム部門で最高7位。グラミー3部門ノミネート)がロングセラーを続けています。また昨年1月に故郷シカゴで行なわれたオバマ大統領のフェアウェル・スピーチでは、アメリカ国歌を歌うという栄誉に浴しています。

波に乗る彼が、ついにブルーノート東京に初登場しました。

日本に到着してから早速2つのラジオ番組に出演したBJですが、そこでさらなる手ごたえを得たのでしょうか、2017年にリリースされたオープニング曲「Roses」からエンジン全開。「Church」(チャンス・ザ・ラッパーとの共演が話題を集めたのも記憶に新しいところです)、「Shine」などなど、風圧が伝わってくるようなベース・ライン、絡みつくがごときドラムのビートに乗って、熱唱を繰り広げます。曲間にはMCもあるのですが、それも"しゃべり"というよりは教会の"プリーチ"さながらにメロディアス。観客への呼びかけも多く、改めて彼の持つゴスペル・ルーツに触れたような思いがしました(ぼくはミシシッピやハーレムの教会でゴスペルを体験したことがありますが、そのときの説教師の調子を想起しました)。

中盤ではシーケンサーを省き、ギターとドラムスだけによる伴奏で「Woman's World」や「Jeremiah」を披露。手数を抑えたバッキングと起伏に富んだ歌声は、60年代後半のアメリカ南部のソウル・ミュージック(サザン・ソウル)をこの時代に蘇らせたかのようです。そしてプログラム後半ではマイク・スタンドをわしづかみにし、身を乗り出しながらのパフォーマンス。ステージにいるのはわずか3人ながら、サウンドの"圧"はとんでもなく強力です。

BJは、大のソウル・ミュージック・ファンである父親の影響で幼いころからジェイムズ・ブラウン、マーヴィン・ゲイ、アル・グリーン、カーティス・メイフィールドなど数々の伝説的ソウルマンの音楽に触れてきました。つまり彼の中にはアフリカ系アメリカ人歌謡のレガシーが息づいているのです。そして彼は、それを未来につなぐべく精力的な活動を繰り広げています。初日ファースト・セットは、マーヴィン・ゲイ(この4月で没後34年を迎えます)へのリスペクトをこめた、飛び切りエモーショナルなアカペラで締めくくられました。公演は本日も開催。現代ブラック・ミュージックのホットな息吹を、ぜひご体感ください!

(原田 2018 3.8)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2018 3.7 WED.
1st & 2nd
1. ROSES
2. CHRCH
3. LOVE INSIDE
4. PERFECT
5. RESUMÉ
6. NOTHIN INTO SOMETHING
7. WOMAN’S WORLD / JEREMIAH / HEART CRUSH
8. GOOD LUV’N
9. STUDIO
10. SHINE
11. SEX MONEY
12. TURNING ME UP / MAN DOWN
EC1. NICE & SLOW
EC2. SUPER STAR
EC3. ONE IN A MILLION
EC4. REAL THING

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