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KYLE EASTWOOD

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

このところのブルーノート東京は、"ハンサム・ウィーク"といっていいでしょう。14日まで華麗なパフォーマンスを繰り広げたトランペット奏者クリス・ボッティに続いて、昨日からはカイル・イーストウッドが最新作『イン・トランジット』を携えて登場しています。若き日の父、クリント・イーストウッドを彷彿とさせる長身にベースを抱えた姿は本当に絵になります。

前日、「Brooklyn Parlor SHINJUKU」でピアニストのアンドリュー・マコーマックとミニ・ライヴを繰り広げたばかり。その好調をそのままフル・メンバーによるステージに持ち込んだ形です。他のメンバーもクエンティン・コリンズ(トランペット、フリューゲルホーン)、ブランドン・アレン(テナー&ソプラノ・サックス)、クリス・ヒギンボトム(ドラムス)という気心の知れた面々。クエンティンは超軽量ドライ・カーボンをベル(朝顔)に使用したモデルを吹きます。ここ数年、いささか固定気味だったセットリストも大きく変わり、『イン・トランジット』同様、モダン・ジャズ~ファンキー・ジャズに寄せる愛が強く感じられるライヴが楽しめました。

ロンドンの老舗ジャズ・クラブ「ロニー・スコッツ」に捧げた「Rockin' Ronnies」は同時に、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルヴァー・クインテットなど往年の人気モダン・ジャズ・バンドへのリスペクトでもあるのでしょう。息の合った管楽器のユニゾン、弾むようなベース・ライン、伸びのあるシンバル・レガート(トップ・シンバルにはチェーンがつけられていました)が一体となって熱狂を運ぶ4ビート・ナンバーです。「Soulful Times」は"アコースティック・ジャズ・ファンク"と呼びたくなる16ビートの楽曲。トランペットを吹いている時のシャープな感覚とは一転、フリューゲルホーンに持ち替えたクエンティンが甘美なソロで大きな拍手を集めました。

続いては5弦エレクトリック・フレットレス・ベースに持ち替えて、アフロ的なリズムを用いた「Swamp」へ。縦横無尽の指使いでソリストをガンガン煽り、自身もクリスのドラムスと掛け合いを繰り広げます。また、モロッコ滞在時の印象をスケッチしたという「Marrakech」ではアコースティックとエレクトリックの両方を演奏。弓弾きパートでは深いエコーをかけて幻想的な雰囲気を醸し出し、エンディングではアンドリューがピアノの弦をかきむしって余韻を残しました。

ほかにもエンニオ・モリコーネ作「Nuovo Cinema Paradiso」やチャールズ・ミンガス作「Boogie Stop Shuffle」のカヴァーありと、とにかくバラエティに富んだプログラムを堪能させてくれました。ジャズの楽しさ、わかりやすさに溢れた公演は18日まで続きます。

(原田 2018 2.17)

Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2018 2.16 FRI.
1st
1. ROCKIN’ RONNIE’S
2. SOULFUL TIMES
3. SWAMP TO AN OASIS
4. MARRAKECH
5. CINEMA PARADISO
6. BOOGIE STOP SHUFFLE
EC. MOVIN’
 
2nd
1. ROCKIN’ RONNIE’S
2. SOULFUL TIMES
3. SWAMP TO AN OASIS
4. MARRAKECH
5. JARREAU
6. CINEMA PARADISO
7. BOOGIE STOP SHUFFLE
EC. MOVIN’

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