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PATTI AUSTIN sings ELLA FITZGERALD -Centennial Celebration-

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


この2017年、さまざまなジャズ・ミュージシャンが生誕100年を迎えました。ブルーノート東京でもジョン・ビーズリーがセロニアス・モンク、ビッグ・ファット・バンドがバディ・リッチ、ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロとジョン・ファディスがディジー・ガレスピーの生誕100年を祝いましたが、昨日からはパティ・オースティンによるエラ・フィッツジェラルド生誕100年プログラムが始まっています。当代一の実力を持つベテラン・シンガーが20世紀を代表する歌姫にトリビュートするのですから、まさしく必見必聴です。パティは4月からエラに捧げるツアーを世界各地で行ない(特にニューヨーク・ハーレムの「アポロ・シアター」公演は熱狂的な盛り上がりをみせたそうです)、ついにこの12月、日本にやってきたのでした。

パティは2002年、念願のアルバム『For Ella』というアルバムを発表しています。エラ、フランク・シナトラ、メル・トーメら数々の名歌手と縁の深いパトリック・ウィリアムスをアレンジャーに迎えた豪華な作品で、グラミー賞にもノミネートされました。ステージでは、ここからの楽曲がふんだんに歌われました。「You'll Have To Swing It (Mr. Paganini)」や「A Tisket A Tasket」はヒット・チャートを賑わせた、「エラはポップ・スターでもあったの。今でいうところのテイラー・スウィフトみたいな存在ね」というパティのMCを裏付ける楽曲。そして名作曲家ジョージ・ガーシュウィンのソングブック(エラは少なくとも2度、彼の作品集を出しています)からは「Our Love Is Here To Stay」「The Man I Love」「But Not For Me」をじっくり聴かせてくれました。後者2つでは、普段あまりとりあげられることのないヴァース("前歌"と訳されることが多いようです)も歌い込まれました。この"ヴァース"を聴くだけでも、とびきり贅沢なひと時を味わった気分になることでしょう。

エラはまた、スキャットの達人でもありました。パティはMCで、「意味のない歌詞で歌うこと」と「本物のスキャット・シンギング」の違いについて実に分かりやすく説明し、エラの金字塔である「How High The Moon」の歌唱に入ります。1コーラス目はゆっくりしたテンポでメロディアスに歌い、2コーラス目、3コーラス目とテンポを速めてメロディをフェイクし、4コーラス目に入ると超快速スキャットが炸裂します。エラの解釈に敬意を払いながらも、その歌声とノリはまさしくパティ流。パトリック・ウィリアムスが書いたトリビュート曲「Hearing Ella Sing」におけるスウィング感も見事でした。

どちらかというと「Say You Love Me」や「Kiss」といったフュージョン~ブラック・コンテンポラリー路線でおなじみのパティですが、そちら方面のファンにもぜひお越しいただきたい、ハッピーでスウィンギーで、無類の歌のうまさが際立つ絶品のステージでした。公演は22日まで続きます。
(原田 2017 12.20)


Photo by Takuo Sato

SET LIST

2017 12.19 TUE.
1st
1. TOO CLOSE FOR COMFORT
2. HONEYSUCKLE ROSE
3. YOU’LL HAVE TO SWING IT (Mr.PAGANINI)
4. OUR LOVE IS HERE TO STAY
5. A TISKET A TASKET
6. MISS OTIS REGRETS
7. HARD HEARTED HANNAH
8. BUT NOT FOR ME
9. SATIN DOLL
10. THE MAN I LOVE
11. HOW HIGH THE MOON
EC. HEARING ELLA SING
 
2nd
1. TOO CLOSE FOR COMFORT
2. HONEYSUCKLE ROSE
3. YOU’LL HAVE TO SWING IT (Mr.PAGANINI)
4. OUR LOVE IS HERE TO STAY
5. A TISKET A TASKET
6. MISS OTIS REGRETS
7. HARD HEARTED HANNAH
8. BUT NOT FOR ME
9. SATIN DOLL
10. THE MAN I LOVE
11. HOW HIGH THE MOON
EC1. HEARING ELLA SING
EC2. HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS

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