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The EXP Series #14 / VALERIE JUNE

artist VALERIE JUNE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ニューヨーク・タイムズ、ローリング・ストーン、ザ・ニューヨーカーなどの著名メディアが絶賛。オバマ前大統領夫妻やザ・ブラック・キーズも、その歌声に魅せられているとききます。最も初来日が望まれていたに違いないニュー・スターのひとり、ヴァレリー・ジューンの公演がついに始まりました。

初日のファースト・セットは、まるでウクレレのようなサイズの小型バンジョーを弾き語る「Somebody to Love」から始まりました。ヴァレリーはこの楽器を"タイニ―・ベイビー・バンジョー"と紹介していましたが、音の鳴りは実に豊かです。そして声の存在感も並大抵ではありません。ディスクで聴きなじんでいた通りの、ものすごく張りがあって、よく伸びるヴォーカルが、手の届くような距離で満喫できるのはライヴならではの醍醐味です。ヴァレリーは曲によって普通のバンジョー、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギターにも持ち替えていました。そのキメ細かな指さばきも、今回のステージのポイントのひとつでしょう。

バック・メンバーも"歌の引き立て方"を熟知している演奏家揃いという印象を受けました。キーボードのピート・レムは8月にザ・キャンドルズで「ブルーノート東京」に出て、さらに今年の春にはノラ・ジョーンズの伴奏でも来日しているので、すっかりおなじみの存在といえましょう。ギターのアンドリュー・マクレオドはスライド・プレイでも魅力を発揮し、マシュー・マリネリはベース(アンペッグAMB-1スクロール・ベースという、非常に珍しい機種)とギターでアンサンブルのボトムを支えました。ドラムスは、もうベテランの域に達した名手ライアン・ソーヤーです。ぼくは10数年前、彼のプレイをルイ・ベロジナスとトニー・マラビーの共演盤『Twice Told Tales』で初めて聴きましたが、今回のライヴでも"本当にどんなタイプの曲も、絶妙なさじ加減で叩けるんだなあ"と感心しっぱなしでした。マシューとライアンは今、ものすごく立派なアゴヒゲをたくわえており、そこも大きな見どころだと個人的には思っています。

プログラムはアルバム『Pushin' Against a Stone』『The Order of Time』収録曲主体に構成されていましたが、前半は比較的テンポや音量を抑えたナンバーが中心。後半は複数のエレクトリック・ギターが唸り、ドラムスがたたみかける大迫力のナンバーが続きます。個人的にはキーボードとギターのユニゾン・リフが演奏を引っ張る「Workin' Woman Blues」、テネシー州メンフィス近郊で生まれたというルーツを反映したと思しきサザン・ソウル風「Got Soul」に、すっかり興奮させられましたが、とにかく音楽性が多彩なので、なにがしかの曲が、いろんなファンのアンテナに触れるに違いありません。ブルーノート東京への出演は本日まで!
(原田 2017 11.17)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2017 11.16 THU.
1st
1. SOMEBODY TO LOVE
2. TENNESSEE TIME
3. THE FRONT DOOR
4. MAN DONE WRONG
5. THE HOUR
6. LOVE YOU ONCE MADE
7. SHAKEDOWN
8. TRAIN FARE
9. TWINED & TWISTED
10. TWO HEARTS
11. SLIP SLIDE ON BY
12. WITH YOU
13. ASTRAL PLANE
14. YOU CAN’T BE TOLD
15. WORKIN’ WOMAN BLUES
16. LONELY FOR SO LONG
17. GOT SOUL
 
2nd
1. SOMEBODY TO LOVE
2. TENNESSEE TIME
3. THE FRONT DOOR
4. MAN DONE WRONG
5. THE HOUR
6. LOVE YOU ONCE MADE
7. SHAKEDOWN
8. TRAIN FARE
9. TWINED & TWISTED
10. TWO HEARTS
11. SLIP SLIDE ON BY
12. WITH YOU
13. ASTRAL PLANE
14. IF AND
15. YOU CAN’T BE TOLD
16. WORKIN’ WOMAN BLUES
17. LONELY FOR SO LONG
18. GOT SOUL

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