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AVISHAI COHEN TRIO

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


骨太の音色、明瞭なイントネーション、指弾き・弓弾き共に"完璧"と呼ぶしかないテクニック。間違いなく現在最高峰のベーシストの一人でしょう、アヴィシャイ・コーエンが全員イスラエル出身者からなる最新ユニットを率いて来日中です。

これまでマーク・ジュリアナ、シャイ・マエストロ、ニタイ・ハーシュコヴィッツ、ダニエル・ドーといった凄腕を自身のグループから送り出してきたアヴィシャイですが、今回のメンバーも強力です。とくに前へ前へと突進するようなドライヴ感、メンバー全員が一体となって醸し出す熱気という点では、ぼくが聴いた歴代アヴィシャイ・バンドの中でもダントツのように思いました。ピアノのオムリ・モールは、オメル・アヴィタル、ジョン・ゾーン、ピーター・バーンスタイン等との共演歴もある気鋭。11歳からピアノのレッスンを受け(ベートーベンのピアノ・ソナタを徹底的に学んだそうです)、のちにサックス奏者アーニー・ローレンスに師事してジャズを学びました。ドラムスのノーム・ダヴィッドは音楽一家に育ち、在米イスラエル人のジャズ・ドラマーであるジェリー・ガーヴァルに師事。トランペット奏者のほうのアヴィシャイ・コーエン、エリ・デジブリ、ザニエル・ダミールとも共演しています。また'90年にはイスラエルを訪れたビル・ディクソン(いわゆる"ジャズの10月革命"の首謀者)のオーケストラにも加わりました。この春に登場したリーダー作『Alef Melody』はアヴィシャイ、オムリを迎えて制作されています。

ここ数日、鼻水が出るような寒さが続いているというのに、アヴィシャイはTシャツでステージにあがります。しかもガッツポーズをしての登場です。これだけで「すごく熱いライヴになるのだろうな」という予感がしたのですが、それは的中しました。3者が互いにアイコンタクトしながらの、圧巻のステージ。オムリの両手は「鍵盤が88個じゃ足りないんじゃないか」と思えるほど縦横無尽に左右に広がり、ダンサーでもあるというノームはくねくねと手首を動かしながら小型のタム(高い音が出る)やカウベルを仕込んだ独自のドラム・セットで音の波を描きます。そしてアヴィシャイは左手でベースの胴体を叩きながらの指弾きソロ、高音の早いパッセージでも乱れることのない弓弾き(ピアノとの超絶ユニゾンには鳥肌が立ちました)で会場を熱狂の渦に巻き込みました。

後半はエレクトリック・ベースの演奏あり、"自分で歌うアルバムを作りたいと、少年時代から思っていた夢がついに実現した"と語る最新作『1970』からビートルズ「For No One」のピアノ弾き語りありと、さらにバラエティに富んだパフォーマンス。「こんなにベースが弾けるのに、さらにピアノも弾けて歌えて、かっこよくてハイレベルな曲も書いて、つくづくすごすぎる」と感じるのはぼくだけではないはずです。この"すごさ"を、ぜひナマでご体験ください!
(原田 2017 10.18)


Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2017 10.17 TUE.
1st
1. ONE FOR MARK
2. ELLI
3. DREAMING
4. ALEY GIVA
5. SIKA
6. A CHILD IS BORN
7. ALEF MELODY
EC1. FOR NO ONE
EC2. SEVEN SEAS
 
2nd
1. ONE FOR MARK
2. ELLI
3. DREAMING
4. ALEY GIVA
5. SIKA
6. A CHILD IS BORN
7. ALEF MELODY
EC1. FOR NO ONE
EC2. SUMMERTIME

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