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JOHN CALE

artist JOHN CALE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


1967年はロックに革命が起きた年だったはずだ、と、後続世代のぼくは信じています。ビートルズが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス『アー・ユー・エクスペリエンスド?』、クリーム『カラフル・クリーム』、ドアーズ『ハートに火をつけて』、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ウィズ・ニコ『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ウィズ・ニコ』、みんなこの年のリリースです。

それから50年が経った2017年の現在、元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルが眼の前で歌い、プレイしています。半世紀前の曲もとりあげますが編曲には現在進行形の風が吹き、異なるジェネレーションに属する気鋭たちと一体となって創り出す音楽はどこまでも刺激的です。ジョンは前しか見ていないのです。ぼくは開演中、背後に映し出された幻想的な映像の効果もあいまって、なんだか夢の中に迷い込んでいるような気持ちになりました。

参加メンバーは前回同様、鬼才ディーントニ・パークス(ドラムス)、ジョーイ・マランバ(ベース)、ダスティン・ボイヤー(ギター)という不動の面々。ぼくが見た初日のファースト・セットにおけるジョンは、大体キーボードとギターを7:3ぐらいの割合で弾き、ヴィオラは披露しませんでした。「I Wanna Talk 2 U」といえば、2012年のデジタル・シングル版ではアコースティック・ギターの音色もフィーチャーされていましたが、この日はハモンド・オルガンのようなエレクトリック・ギターの音、図太くうねりベースの音、そして細かなハイハットの刻みが融合し、主役のヴォーカルを煽り立てるように鳴り響きます。

「次はエルヴィス・プレスリーの曲だ」というMCから始まったのは「Heartbreak Hotel」です。しかしぼくはワン・コーラスが終わりかかる頃まで曲名がわかりませんでした。そのくらい大胆にアレンジされていたのです。ジョーイはエレクトリック・ベースを弓で弾き、ギターとベースはほぼフリー・フォーム。そしてジョンはキーボードの鍵盤をたたきつけるようにしながら、地底から湧き上がるような低音を用いて、ニヒルなまでの表情で歌詞を放っていきます。未来の荒涼とした都市にあるホテルで、恋に破れた者たちが虚空を見上げている図が浮かんできました。そして「Leaving It Up to You」では椅子から立ってステージ中央に移動して、アームを駆使しながら重厚なソロを展開。予想もつかないフレーズが快感を運びます。

そして、『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ウィズ・ニコ』からは「Sunday Morning」と「I'm Waiting for the Man」が取り上げられました。レコードでは亡くなったメンバーがメイン・ヴォーカルをとっていましたが、それをサヴァイヴァー(生き残り)であるジョンが、低く豊かに歌い上げます。会場から、ひときわ大きな拍手が起こったのは言うまでもありません。
(原田 2017 10.7)


Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2017 10.6 FRI.
1st
1. GRAVEL DRIVE
2. THE ENDLESS PLAIN OF FORTUNE
3. I WANNA TALK 2 U
4. HEARTBREAK HOTEL
5. ROSEGARDEN FUNERAL OF SORES
6. FEAR IS A MAN’S BEST FRIEND
7. DIRTY ASS ROCK'N'ROLL
8. YOU KNOW MORE THAN I KNOW
9. LEAVING IT UP TO YOU
10. SUNDAY MORNING
11. SHIP OF FOOLS
12. I’M WAITING FOR THE MAN
 
2nd
1. THE ENDLESS PLAIN OF FORTUNE
2. CARAVAN
3. HANKY PANKY NOHOW
4. I WANNA TALK 2 U
5. ROSEGARDEN FUNERAL OF SORES
6. IF YOU WERE STILL AROUND
7. DIRTY ASS ROCK'N'ROLL
8. YOU KNOW MORE THAN I KNOW
9. SUNDAY MORNING
10. I’M WAITING FOR THE MAN
11. WASTELAND
12. GUN/PABLO PICASSO

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