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MIKE STERN / BILL EVANS BAND featuring DARRYL JONES & SIMON PHILLIPS

artist BILL EVANS , MIKE STERN

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


まさしくサミット・ミーティングと呼ぶにふさわしいセッションが繰り広げられています。メンバーはマイク・スターン(ギター)、ビル・エヴァンス(サックス)、ダリル・ジョーンズ(ベース)、サイモン・フィリップス(ドラムス)というパワフルこのうえない面々。マイクとビルは'81年にマイルス・デイヴィスが結成したグループ(通称カムバック・バンド)に抜擢され、知名度を一気に広げました。彼らが脱退した後、入れ替わるようにマイルス・バンドに迎えられたのがダリルです。またマイク+ビル、マイク+ダリルは、時期は違うもののステップス・アヘッドに所属していたこともあります。ジェフ・ベックやミック・ジャガー等のサポートを務めていたサイモンがジャズ/フュージョンに以前にも増して積極的に取り組むようになったのは'90年代以降だったと記憶していますが、彼はもともと'60年代にマイルス・バンドにいたトニー・ウィリアムスの大ファン。アルバム『アナザー・ライフタイム』はトニーに捧げられています。2012年、マイクがリー・リトナーと共に来日した時のドラマーもサイモンでした。

開演前から、超満員の会場はすごい熱気です。ジャズ/フュージョン・ファンはもちろん、マイルス・ファン、彼らのテクニックを目で盗もうとする"楽器ファン"らが、いかにこのライヴに期待を寄せているかがひしひしと伝わります。1曲目は近年のマイクのライヴで定番となっている「Out Of The Blue」。全員が存分に、個性たっぷりのソロをとり、そのつどオーディエンスから大きな拍手を引き出します。次はビルの楽曲から「Tit For Tat」。2012年にリリースされたアルバム『Dragonfly』に入っていたナンバーです。テーマ・メロディを吹くビルのテナー・サックスにはディレイがかかり、ギター・ソロのバックではアコースティック・ピアノも演奏します。「そういえばビルはマイルス・バンドでも、サックスの出番がないときはよくキーボードを弾いていたなあ」と、古参ファンであるぼくは感慨深くなりました。マイクがギターとスキャットを重ねる「All You Need」でも、ビルのピアノが絶妙なアクセントを加えました。

続いて再び『Dragonfly』から「Kings And Queens」。CDではドラマーとしても知られるジョシュ・ディオン(故チャック・ローブに見出された実力者です)がリード・ヴォーカルをとっていましたが、この日はビルみずからピアノを弾きながら歌います。これがまた実に渋くていい声、ブルース・ロック風の曲調にぴったりなのです。最近話題の逸材、デクラン・オドノヴァンをより深く、ブルージーにした感じといえばいいでしょうか。しかもビルは間奏でテナー・サックスも吹き、文字通り休む間もない活躍ぶりでした。そしてダリルのベース・ラインが実にかっこいいのです。彼は20数年にわたってローリング・ストーンズのツアーやレコーディングに参加していますが、そこで得た"歌手(スター)を引き立てるコツ"は数知れないのではないか、と思います。

そしてオーラスはジミ・ヘンドリックスのブルース「Red House」。ファースト・コーラスをマイク、セカンド・コーラスをビルが歌い、ラストではギター、サックス、ベース、ドラムスが一体となってクライマックスにもつれこみます。いずれも来日経験豊富な面々ばかりですが、この4人が揃うライヴは超貴重だと思います。公演は21までブルーノート東京、22日と23日がコットンクラブです。
(原田 2017 8.20)

Photo by Yuka Yamaji

●MIKE STERN / BILL EVANS BAND
featuring DARRYL JONES & SIMON PHILLIPS
2017 8.19 sat., 8.20 sun., 8.21 mon. ブルーノート東京
詳細はこちら
2017 8.22 tue., 8.23 wed. コットンクラブ
詳細はこちら

SET LIST

2017 8.19 SAT.
1st
1. OUT OF THE BLUE
2. TIT FOR TAT
3. ALL YOU NEED
4. KINGS AND QUEENS
5. UNTITLED
6. WHAT MIGHT HAVE BEEN
7. TIPATINA’S
EC. RED HOUSE
 
2nd
1. COOL EDDIE
2. SOULBOP
3. ALL YOU NEED
4. KINGS AND QUEENS
5. UNTITLED
6. WING AND A PRAYER
7. CHROMAZONE
EC. RED HOUSE

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