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DIRTY DOZEN BRASS BAND @Motion Blue YOKOHAMA

artist DIRTY DOZEN BRASS BAND

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


リバース・ブラス・バンド、オリンピア・ブラス・バンド、ソウル・レベルズ・ブラス・バンド、トレメ・ブラス・バンド、TBCブラス・バンドなど、ニューオリンズには生きのいいブラス・バンドがたくさんいます。が、歴史、存在感、幅広い音楽性、すべてにおいて別格なのはやはり"ダーティ・ダズン・ブラス・バンド"でしょう。共演者はエルヴィス・コステロ、ドクター・ジョン、バディ・ガイ、ジョー・ヘンリー、ジョン・メデスキなど多岐にわたり、2006年にはマーヴィン・ゲイのアルバム『What's Going On』をカヴァーしたことも話題を集めました。彼らが結成40年ツアーの公演国の中に、日本を選んでくれたことをとても嬉しく思います。26日から「ブルーノート東京」公演が始まりますが、ぼくは22日に行なわれた「モーション・ブルー・ヨコハマ」公演に足を運びました。

'85年に日本でリリースされたファースト・アルバム『My Feet Can't Fail Me Now』の頃はバス・ドラムとスネア・ドラムの担当が別だったり、ブラスも5~6人はいたはずですが、現在はドラム・セットを使用し、エレクトリック・ギターも大きくフィーチャーするなど、いわゆる旧来のブラス・バンドとは一味異なる編成となっています。管楽器はグレゴリー・デイヴィス(コルネット)、ロジャー・ルイス(バリトン・サックス)、ケヴィン・ハリス(テナー・サックス)、カーク・ジョセフ(スーザフォン)の4人。グレゴリー、ケヴィン、カークの3人はオリジナル・メンバーで、その少し後にロジャーが加入しました。結成35周年のとき、グレゴリーはこう語っています。"まだまだチャレンジは終わってないよ。目の前のお客さんを前にすると、今夜はどう皆を楽しませようか、がぜん気持ちが高まるんだ。あとはベストを尽くすだけさ"。

息の合ったヴォーカルと、円熟を感じさせるソロは、さすが40年間同じ釜の飯を食ってきた者どうしです。ケヴィンはマウスピースを強く握りながら、何度もハイノート(超高音)を出してアンサンブルの音域を上へ上へ広げていました。そしてバンドの音作りに強い活気と勢いを与えていたのが、彼らの息子や孫の世代にあたるミュージシャンたちです。ギターの新村健はシャープなカッティングとロック色の濃いソロで観客を沸かせ、デルフィーヨ・マルサリス(ニューオリンズ出身)のオーケストラでも活動するトロンボーンのTJノリスは豪快かつメロディアスなソロで聴きどころをつくりました。そしてソリストを煽り、たきつけていたのがジュリアン・アディソンのドラムスです。デイヴ・ウェックルやテリー・ボジオを敬愛しているそうですが、そのプレイは聴かせることと同時に見せることもしっかり考えられています。右手のスティック高速回転→放り投げ→キャッチのテンポの良さ(その間、左手と両手両足はずっとリズムを刻んでいる)には、唸らされるばかりでした。

最初のアルバムをリアルタイムで聴いたときは、「ずいぶんモダン・ジャズ色の濃いブラス・バンドだな」と思ったものですが、現在の彼らにはファンク、ヒップホップ、R&B、カリプソ、スカ等の要素がごく自然に混じっています。そしてラストの「St.James Infirmary」(ルイ・アームストロングやキャブ・キャロウェイがとりあげた大の古典)ではニューオリンズ古来のジャズ・サウンドを現代に届けてくれました。ダーティ・ダズン・ブラス・バンドの「ブルーノート東京」公演は26日からです。
(原田 2017 7.23)

●DIRTY DOZEN BRASS BAND
2017 7.23 sun. SAPPORO CITY JAZZ 2017
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2017 7.24 mon. 名古屋ブルーノート
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2017 7.26 wed., 7.27 thu. ブルーノート東京
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