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The EXP Series #12 / THE FUNKY KNUCKLES

artist CALEB McCAMPBELL , THE FUNKY KNUCKLES

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


スナーキー・パピーの盟友バンド(といっていいでしょう)、ザ・ファンキー・ナックルズの来日公演が始まりました。ナックルには"げんこつ"という意味がありますが、たしかに彼らのステージは音のパンチが降り注ぐかのようです。しかしそれは痛みの代わりに快感を伴う、ファンキーでありながら、ドラマティックでもあり、ジャズの豊かな伝統も感じさせると同時に、交響楽(シンフォニー)的でもあるという超ワイドレンジな音のパンチです。ザ・ファンキー・ナックルズの6人は、愛のこもったグルーヴたっぷりのサウンドで、聴き手をノックアウトするのです。

グループは2010年、テキサス州ダラスで結成されました。その2年後にスナーキー・パピーのマイケル・リーグのレーベル"グラウンドアップ"からアルバム・デビュー、第2作『Meta-Musica』がiTunesジャズ・アルバム・チャートの1位になったことで一気に名を広めました。全メンバー中、最も日本のファンになじみ深いのはキーボードのケレブ・マッキャンベルでしょうか。この春にもスタンリー・クラークのバンドで来日したばかりの才人です。そのときはステージ上手側で、どちらかというスタンリーの長大なベース・ソロのサポートにまわっていましたが、今回は下手側に位置し、これでもかと複数のキーボードを駆使します。ケレブはまた、ユーモアたっぷりのMCも担当し、場内の盛り上がりに大きく貢献していました。

ケレブは「ぼくらの演奏はだいたい1曲15分ぐらいかかるんだ」と語ります。たしかに1曲は長めで、その中に様々なムードやテンポの変化が盛り込まれている感じです。どの曲も、乗りの良さと徹底した構成力が共存していますが(あれほど細かな"キメ"を含むアンサンブルを、まったく譜面を使わず軽々とプレイしていたのも衝撃的でした。暗譜しているのでしょう)。ぼくが「うわぁ!」と心の中で感嘆の声をあげたのは「Wise Willis」と「Me Too」のメドレーです。まずはセドリック・ムーアが図太い音色でドラム・ソロを演じ、つづいてケレブがパイプ・オルガン風の音色でイントロを奏でます。続いてトランペットのイヴァン・ワイスとテナー・サックスのベン・ボルケスが"これが4ビートで演奏されていたら、ベニー・ゴルソンの曲と間違えるひともいるのではないかな"といいたくなるような哀調を帯びたメロディを、ファンキーなリズムに乗せて吹きます。その後ベンのアドリブ・ソロに入りますが、いつしかギターのフィル・アロニーが別のモチーフを導き出して、シャッフル・リズム風の展開に。2ホーンが再び参加して少ししてからリズム隊が急に静かになり、Jポップでいうところの"落ちサビ"のような流れになりますが、それもつかの間、ケレブ~セドリック~ベースのウェス・スティーブンソンが一体となってワルツ・リズムを打ち出し、そのうえでトランペットとサックスがモード・ジャズ風のメロディを奏するとテンポは急上昇、フィルがアーミングを用いながらハード・ロックのギタリストばりに弾きまくります。かと思えば今度はケレブがヴォコーダーを使ってスキャットを熱唱し、ラストは全員一丸となって大音量で爆走、ここしかないというタイミングで最後の一音を、見事に決めました。

この初来日公演で、ザ・ファンキー・ナックルズは何倍もファン層を広げることでしょう。スナーキー・パピーとの対バンもぜひ見てみたいものです。公演は本日も開催されます。
(原田 2017 7.16)


Photo by Takuo Sato

SET LIST

2017 7.15 SAT.
1st
1. KYLE’S DANCE
2. MOORISH
3. WISE WILLIS
4. ME TOO
5. MICRO CLOWN
6. CAPT. SANDALS
7. NEW BIRTH
EC. YO, THIS IS THE KNUCKS
 
2nd
1. MYSTERY SONG
2. RAIN JOURNEY
3. 16 BARS
4. SHIELD OF FAITH
5. ARISE
6. DANG IT’S HOT
EC. NEW BIRTH

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