LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


JOSÉ FELICIANO

artist JOSÉ FELICIANO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ことしも、この季節がやってまいりました。「ジャンル、国境、言語を超えて世界にアピールする真のクロスオーヴァー・アーティスト」、巨星ホセ・フェリシアーノの登場です。4年連続の「ブルーノート東京」公演となりますが、今回は紅一点のバック・ヴォーカリスト、イエレナ・クリスティクも加え、さらに多彩に、華やかに、情熱的に迫ります。

ホセのライヴでは最初に、彼のこれまでの軌跡をまとめた映像がスクリーンにうつしだされます。これを見ると彼がいかに多くの分野のいろんなひとに愛され、数々の栄誉に輝いてきたかが紹介されます。改めて「ものすごいアーティスト・キャリアだな」だと思っていたら、やがて、その「ものすごい」本人がステージに登場して歌い始めます。いま目の前にレジェンドがいることを、はっきり認識できる瞬間です。オープニングは軽快な「Chico and the Man」。'70年代のアメリカで人気を博したテレビ・シリーズの主題歌です。

「ビートルズの中でも、とくに大好きな曲なんだ」という前置きから始まったのは「In My Life」。ビートルズ・ヴァージョンよりもかなりメロディを変え、よりシンコペーションを強調しながら歌います。名曲と"ホセ節"の相性はばっちり。ビー・ジーズ初期のナンバー「To Love Somebody」のカヴァーも絶品でした。「ビー・ジーズでは、もちろん"How Deep Is Your Love"や"Stayin' Alive"のようなディスコ路線も好きだよ、だけど私にとってこの曲こそが最高なんだ」。現在のホセのバンドはツイン・キーボード編成ですが、決してロング・トーンで音の隙間を埋め尽くすことなく、あくまでもホセのリズミカルな歌とギターを引き立てることに徹しているのにも好感が持てました。

「若い頃、最初に来日した時、日本のファンはスペイン語の歌が好きなんだってすぐにわかったよ。メキシコのトリオ・ロス・パンチョスは日本ですごい人気だったよね? そのずっと後にはオルケスタ・デ・ラ・ルスという素晴らしいサルサ・バンドが日本で生まれた。このへんでスペイン語の歌を聴いてもらおうかな」という前置きから始まった「Invita Me a Tu Cueva」もまた、実に愛らしいナンバーでした。指弾きによるアコースティック・ギターに、ちょっと塩辛い歌声が乗り、その後ろではドラムやパーカッションが軽快な響きを立てる、この気持ち良さ。後半のMCで、敬愛する日本のアーティストとして箏奏者の衛藤公雄(ホセは"キーモ・イート"と発音)の名を出したのにも驚かされました。衛藤は日本武道館で1965年に演奏会を開いた(ビートルズ来日の前年)ことでも知られるひとりで、'50~'60年代のアメリカ滞在中にはハリー・ベラフォンテ、バド・シャンク、ヘンリー・カウエルなどと交流、現在は息子のスティーヴ エトウ、レナード衛藤が音楽界で大活躍しています。「素晴らしいミュージシャンシップの持ち主だった。彼の音楽にはずいぶん触発されたものだ」。

これほど長きにわたって「音楽はひとつ」「世界はひとつ」を表現し続けているアーティストも、そういるものではありません。公演は9日まで続きます。
(原田 2017 7.8)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2017 7.7 FRI.
1st
1. CHICO AND THE MAN
2. IN MY LIFE
3. BILLIE JEAN
4. INVITA ME A TU CUEVA
5. TO LOVE SOMEBODY
6. BEYOND THE SEA
7. SUSPICIOUS MINDS
8. OYE COMO VA
9. LIVING IN A WORLD
10. LIGHT MY FIRE
EC. QUE SERA SERA
 
2nd
1. AIN’T NO SUNSHINE
2. AFFIRMATION
3. RAIN
4. BAMBOLEO
5. OYE COMO VA
6. KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR
7. CALIFORNIA DREAMIN’
8. LIGHT MY FIRE
9. COME DOWN JESUS
10. ONE MORE DRINK

INDEX