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DAYMÉ AROCENA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


去る4月30日、野外イベント「JAZZ AUDITORIA 2017 in WATERRAS」に登場。満場を魅了したキューバ出身の女性シンガー、ダイメ・アロセナが昨日から「ブルーノート東京」で入魂のパフォーマンスを繰り広げています。

ぼくにとって今回の公演の目玉は、参加メンバー5人全員です。セサル・ロペス率いる"ハバナ・アンサンブル"での活躍も印象深いホルヘ・ルイス・ラガルサ・ペレス(ピアノ、キーボード)、ラファエル・アルダマ(ベース)、ルリ・エレーラ(ドラムス。バスドラにはダイメの似顔絵が描かれています)がリズム・セクションを務め、そこに俊英サックス奏者エミール・サンタクルス(個人的には、"キューバのマーカス・ストリックランド"と呼びたくなります)が加わっているのです。オープニングはまず、彼らによる演奏。全員がダイメの最新アルバム『キューバフォニア』に参加しているとはいえ、勢ぞろいした雄姿を目の前で見ることができるのは至福です。ホルヘはヴォコーダー機能を用いて歌い、ルリは複数のスネア・ドラムを使い分けながら怒涛のようなプレイを響かせます。

演奏が盛り上がった頃、白い衣装に身を包んだダイメが登場して客席はさらに盛り上がります。すさまじくファンキーな変拍子に乗せて、厚みのある声でサックスとユニゾンでメロディを表現します。個人的に思い出したのは、1980年代後半、JMTレーベルに作品を吹き込んでいた頃のカサンドラ・ウィルソンです。ダイメは広い声域を生かし、緩急に富んだ歌声を披露。歌っていないとき、他のメンバーの演奏を聴きながら体を動かしている姿も実に絵になります。"チャチャチャ"や"グァヒーラ"といったキューバの伝統的音楽フォームへの説明をはさみながらのセレクションは多彩そのもの。リズミカルな曲だけではなく、'70年代の米国ニュー・ソウルを思わせる「Cómo」、エモーショナルなバラード「Ángel」などしっとりしたナンバーも圧巻でした。

「日本に来るといつも"ホーム"に帰ってきたような気分になるの。ブルーノート東京は私の憧れのミュージシャンが数多く出演してきた場所。そこで歌うことができて本当に嬉しいわ」とダイメは笑顔で語り、ステージをおりました。ライヴは本日も開催されます。キューバ音楽好きはもちろん、先日来日したブイカ公演に駆けつけた方にも、大お勧めのプログラムです。ジャイルス・ピーターソンやピーター・バラカンをも魅了する新世代歌姫ダイメ・アロセナの真髄を、ぜひご体感ください!
(原田 2017 5.2)


Photo by Makoto Ebi

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