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BUIKA @BLUE NOTE TOKYO

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ついにこの日がやってきました。ラテン・グラミー賞に輝くカリスマ・シンガー、ブイカの初「ブルーノート東京」公演です。

スペイン・マジョルカ島出身。アメリカの公共ラジオ局、NPR (National Public Radio)が選んだ「史上最高のヴォーカリスト50人」のひとりであり、その歌声はニーナ・シモンやセザリア・エヴォラとも並び称されるほどです。ぼくが彼女のライヴを初めて体験したのは、「ブルーノート・ニューヨーク」で行なわれたチック・コリアのスパニッシュ・セッションで、でした。他のメンバーはニーニョ・ホセーレ(ギター)、カルレス・ベナベン(ベース)、ホルヘ・パルド(フルート)等。チックのアルバムでいうと『マイ・スパニッシュ・ハート』や『タッチストーン』の世界をさらに濃厚に熱く激しくして、それをライヴの場にそのまま持ち込んだような白熱の内容だったのですが、そこで主役をしのぐほどの拍手と歓声を受けていたのがブイカでした。歌唱も表情も身振り手振りも実に表情豊かで、あまりにも輝いていたので終演後に話をきいたところ、"ニューヨーク「タウン・ホール」でのソロ公演が決定して、すごく嬉しい"と語っていたことを思い出します。

「ブルーノート東京」でも無論、ブイカは観客を釘付けにしました。場内は"立錐の余地もない"といいたくなるほどの超満員。赤いドレスを着たブイカが颯爽と登場すると、"待ってました"とばかりに盛大な拍手が起きます。マイクの後ろにカーペットをしき、そのうえで裸足になっての熱唱です。何を歌うかはそのときのブイカの気分で決まりますが、レパートリーはとにかく多彩なムードを持っています。ファンク、フラメンコ、ジャズ、サンバ、フォルクローレ・・・いろんな音楽からの影響が、"ブイカ・ミュージック"に反映されています。低域を重点的に使って訴えるように歌う「Nostalgias」、叶わぬ恋を題材にした「Ni Contigo」、1929年に作曲された古典的ナンバーを斬新このうえないアレンジで蘇らせた「Siboney」(冒頭で披露されたロング・スキャットも、すさまじい迫力でした)などが、クラブ中に響き渡りました。伴奏メンバーも凄腕揃いで、ぼくはとくにホスエ・ランキオのエレクトリック・ベースに惹かれました。厚い低音でボトムを担うだけではなく、コード(和音)弾きやハンマリングも交え、ときにはエフェクターも交えながらブイカの歌声と対話するように演奏するのです。トロンボーンとキーボードを兼ねるサンティアゴ・カニャダも流麗なアドリブを披露し、ブイカとの掛け合いは間違いなくこの日のクライマックスのひとつでした。

絶好調を維持したまま、ブイカは3月7日(火曜日)、すみだトリフォニーホールのステージに立ちます。題して「ブイカ "シンフォニック・スペシャル・ナイト"」。新日本フィルハーモニー交響楽団との共演ステージで、また新たな音楽世界を届けてくれることでしょう。お見逃しなく!
(原田 2017 3.5)


Photo by Takuo Sato


●BUIKA "Symphonic Special Night"
with 新日本フィルハーモニー交響楽団
2017 3.7 tue.  すみだトリフォニーホール
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