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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ギネスブックに"最多レコーディング数を誇るジャズ・ベーシスト"と認定された巨匠、ロン・カーターが今年も元気な姿を見せています。

しかし今回は、通常のベース(コントラバス)ではなく、彼が独自に考案したメロディ楽器"ピッコロ・ベース"に専念してのステージです。ロンがこの楽器を手がけるようになったのは1970年代の初め。『Blues Farm』『Spanish Blue』『Piccolo』など数々のアルバムで、妙技を聴かせてきました。チェロのような、エレクトリック・ギターのような音色は、通常のベースを弾いているロンしか馴染みのないファンに多大なインパクトを与えることでしょう。彼がピッコロ・ベース主体のプロジェクトで来日するのは、おそらく20数年ぶりのことと思われます(今はなき池袋「アムラックス・ホール」に出演)。

チェロ奏者4人を加えた9人がステージに並ぶ姿は壮観です。男性は全員、スーツに蝶ネクタイを着用しています。ロンはMCで「室内楽のコンサートを、居間で聴いているような気持ちで楽しんでほしい」と語りました。オープニングはチェロ四重奏による「Abide with Me」。続いてロン版スケッチ・オブ・スペインというべき「El Rompe Cabeza」に移ります。カスタネットやトライアングルを駆使してリズムに陰影を付け加えるロラーンド・モラーレス・マートス、ロンが最も敬愛するピアニストのひとりであった故ローランド・ハナを彷彿とさせるドナルド・ヴェガのクラシカルなピアノ・タッチが鮮烈な印象を与えます。

続いてはハービー・ハンコックの名盤『Speak Like a Child』(1968年)で演奏されていた「First Trip」。60年代のロンを代表する楽曲のひとつですが、作者自身のピッコロ・ベースで聴く同曲はまた趣が異なります。ロンのソロにチェロが絡んだり、ロンとベース奏者リオン・メイルソンのデュオ・パートがあったりと、アレンジも凝っています。メイルソンは80年代から、ロンがピッコロ・ベースを弾くときは必ずといえるほどサイド・ベーシストを務めていますが、ナイロン弦を張り、4弦にエクステンション(より低い音が出る装置)を付けたプレイはまさにロン・カーター・スクールの最優等生といった感じです。

続いて登場したのは、やはり人気の高い「Little Waltz」。70年代にはVSOPクインテットでも演奏されましたが、ぼくの記憶では、この曲の初演はピアノ奏者ボビー・ティモンズのアルバム『The Soul Man!』(66年)に収められています。つまり50年前に書いた自作なのです。バックのメンバーは音量を抑えに抑えて、御大のプレイをひたすら盛り立てていきます。そしてラストは、カーペンターズの歌でおなじみの「A Song for You」。よく知られたポップ・ソングが、格調高い室内楽ジャズに生まれ変わりました。

公演は15日までオフ日なしで行なわれます。来年80歳を迎えるロン・カーター、ますます健在といっていいでしょう。
(原田 2016 11.11)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2016 11.11 FRI.
  
1st
1. ABIDE WITH ME
2. EL ROMPE CABEZA
3. FIRST TRIP
4. LITTLE WALTZ
5. YOU ARE MY SUNSHINE
6. SONG FOR A FRIEND ~ ALL BLUES
7. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
EC. SONG FOR YOU
 
2nd
1. ABIDE WITH ME
2. A BLUES FOR BRADLEY
3. LOOSE CHANGE
4. EL ROMPE CABEZA
5. SONG FOR YOU
6. FIRST TRIP
7. EIGHT
8. JUST A CLOSER WALK WITH THEE
EC. ABIDE WITH ME

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