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SENRI OE "Answer July" ~Jazz Song Book~ @Motion Blue YOKOHAMA

artist 大江千里

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ピアニスト/作曲家として新境地を開く大江千里が、最新作『アンサー・ジュライ』を携えて来日中です。ブルーノート東京には11月4日と5日に出演しますが、ぼくはそれに先がけて2日のモーション・ブルー・ヨコハマ公演に足を運びました。

『アンサー・ジュライ』は、大江千里のソングライターとしての魅力がびっしりつまった作品です。ジョン・ヘンドリックス(95歳)、シーラ・ジョーダン(87歳)という2大ヴォーカル・レジェンドを筆頭に、ローレン・キンハン、テオ・ブレックマン、ベッカ・スティーヴンスら、ため息の出るような面々が大江のメロディに歌詞や歌唱で協力しています(ヘンドリックスは作詞のみ)。'80年代にニューミュージック(今はほとんど使われない言葉ですが)系の歌手としてデビューした当時から定評のある彼のポップ・センスは、国境や世代を超えて人々の心に訴えているのです。

この日の共演者はローレン(ヴォーカル)と、ジム・ロバートソン(ベース)。ジムとは27日の福岡公演で合流し、28日の札幌公演からローレンを加えたトリオになりました。前半は新作から「Without Moon or Rain」、「Tiny Snow」などスウィンギーなナンバーを中心に聴かせます。人気ヴォーカル・グループ"ニューヨーク・ヴォイセズ"の一員でもあるローレンは、なんと13年ぶりのモーション・ブルーへの登場なのだそうです。「横浜は大好きな場所。また戻ってこれて嬉しい」といいながら、豊かな声量と柔らかな歌声で快唱を繰り広げました。

中盤はインストゥルメンタル曲を集めたコーナーです。大江のピアノはタッチが力強く、ハーモニーも精緻です。音楽界の大御所に失礼であることを承知で書かせていただきますが、ジャズ・ピアニストを目指してから1枚目のアルバムを出した頃よりも、プレイが進化・発展・成長し、強い確信が加わったように思います。ジムとのやりとりはライヴならではの臨場感にあふれ、ニュー・エイジ・ミュージック風に綴られた無伴奏ソロ「サザエさん」も冴えていました。この曲を書いた筒美京平は、歌謡曲の作曲家として名を成す前、ジャズ・ピアノを演奏していた時期があります。つまり現在の大江千里と逆のコースをたどっているわけで、そこにぼくは、なんともいえない味わい深いものを感じました。

やがてローレンが戻り、ふたたび3人でのプレイが続きます。とにかくピアノとベースの息が合っているので、ドラムスのいない"スカスカ感"をまったく感じさせません。そしてローレンのキメ細やかな歌唱、息遣いがよりダイレクトに伝わってきます。「The Very Secret Spring」も「Just a Little Wine」も、ローレンのしっとりした歌声、大江の繊細なピアノ・タッチが光る極上のバラードでした。

会心のパフォーマンスに、満員のオーディエンスはじっくり聴き入り、演奏が終わると盛大な拍手を送ります。メンバーの3人はもちろん笑顔、なかでも大江のそれは、いままで自分が見た彼のクラブ・ギグの中でも最高のものでした。現在の大江千里は乗りまくっています。
(原田 2016 11.3)

●SENRI OE "Answer July" ~Jazz Song Book~
2016 11.4 fri., 11.5 sat. ブルーノート東京
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