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INCOGNITO "IN SEARCH OF BETTER DAYS" Tour 2016

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ギタリスト/プロデューサーのブルーイ率いる大人気ユニット、インコグニートがニュー・アルバム『イン・サーチ・オブ・ベター・デイズ』を携えて昨日から「ブルーノート東京」に登場しています。結成から37年という長い歴史を持ちながら、常に活きのいいミュージシャンを加え、定期的なアルバム・リリースを行ない、活発にツアーする・・・これを継続しているグループは本当に希少だと思います。しかもホーン・セクションや複数のヴォーカリストを含む大所帯なのです。

インストゥルメンタル曲「Echoes Of Utopia」、ヴァネッサ・ヘインズの歌声をフィーチャーした「Just Say Nothing」など、最新作からのナンバーも織り交ぜた90分間はあっという間です。キーボードには"世界一ファンキーなユダヤ人"ことマット・クーパーに替わってトム・オグレイディが参加。トロンボーンはデューク・エリントン・オーケストラの現メンバーであり、エルトン・ジョンやディオンヌ・ワーウィックと共演したこともあるスタッフォード・ハンターが担当します。アメリカ人の入ったインコグニートを、ぼくは初めて見ました。

リード・ヴォーカルはヴァネッサのほかに、デボラ・ボンド(初来日だそうです)、そしてベテラン男性シンガーのクリス・バリン(マイケル・ジャクソン、ルーサー・ヴァンドロス、ドナ・サマーらとのセッション歴もあり)が曲ごとに務めます。ぼくはブルーイの、いわゆるカッティング奏法が大好きなのですが、「I See the Sun」では単音でデボラの歌声に絡みつくようなオブリガート(助奏)を聴かせ、これまた絶妙な効果をあげていました。そして後半は定番ナンバーを続けて、熱気あふれる会場のボルテージをさらに高めます。

クリスとヴァネッサが肩を組んで歌う「Still A Friend Of Mine」、ブルーイのカッティングが炸裂し、ヴァネッサがメロディをスキャットで歌う「Colibri」、スティーヴィー・ワンダーの「As」などなど、"惜しげもなく"という表現がぴったりの気前の良さです。そしてラストは「Don't You Worry 'bout a Thing」。同じくスティーヴィーの名曲ですが、これを'90年代にリヴァイヴァル・ヒットさせたのがインコグニートであったことをご存知の方も多いことでしょう。今年2度ブルーノート東京で公演した"神童"ジェイコブ・コリア―も毎公演この曲をプレイしていましたが、ジェイコブがテクノロジーを駆使した驚愕のワンマン・パフォーマンスならば、インコグニートは大編成バンドならではの分厚いアンサンブルとグルーヴで魅了してくれます。公演は11日まで休みなく続きます。
(原田 2016 10.7)


Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2016 10.7 FRI.
1st & 2nd
1. ECHOES OF UTOPIA
2. LABOUR OF LOVE
3. TALKIN' LOUD
4. I SEE THE SUN
5. LIVING AGAINST THE RIVER
6. JUST SAY NOTHING
7. DEEP WATERS
8. STILL A FRIEND OF MINE
9. COLIBRI~BASS SOLO
10. DRUM & PERCUSSION SOLOS
11. AS LONG AS IT'S YOU
12. AS
13. DON'T YOU WORRY 'BOUT A THING

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