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Chick Corea 75th Birthday Celebration / CHICK COREA TRILOGY with AVISHAI COHEN & MARCUS GILMORE

artist AVISHAI COHEN , CHICK COREA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


祝、生誕75周年!

巨星、チック・コリアの特別公演"チック・コリア・トリロジー"が昨日から始まりました。共演者は1990年代にチックのバンド"オリジン"で世界的に知られるようになったアヴィシャイ・コーエン(ベース)、そして"ザ・ヴィジル"などチックの近年のプロジェクトには欠かすことのできないマーカス・ギルモア(ドラムス)。お気に入りの気鋭達と"音の会話"を繰り広げるチックのプレイは依然として輝いています。

幻想的なイントロから始まったのは、「500 Miles High」。'70年代を風靡したチックのバンド"リターン・トゥ・フォーエヴァー"(RTF)の第2作『ライト・アズ・ア・フェザー』('73年リリース)に入っていたナンバーです。そこではフュージョン・ミュージックの萌芽というべきサウンドを聴かせていましたが、もちろんこの日はアコースティック・ジャズ仕様での編曲です。アヴィシャイのベースは、木の質感を感じさせるトーンも音数を抑えたプレイぶりもRTFのスタンリー・クラークのそれとは好対照。弦を強く叩いて上に引っ張るスラップ奏法も聴かせてくれました。数秒単位で使うシンバルを切り替え、きめ細かなビートを送り出すマーカスの妙技にも惚れ惚れします。

"ビル・エヴァンスに捧げる"というアナウンスから始まったのはスタンダード・ナンバーの「Alice in Wonderland」。『ファーザー・エクスプロレイションズ』(2011年発表)や『トリロジー』(2014年発表)といったアルバムでも演奏されている近年の愛奏曲ですが、チックのアドリブ・フレーズはまるで尽きない泉のよう。ハーモニーをどんどん変化させながら、楽想を拡げていきます。「Fingerprints」は『トリロジー』で初公開されたチックの自作。'68年から'70年にかけてマイルス・デイヴィス・バンドで同僚だったウェイン・ショーターの「Footprints」にインスピレーションを受けた曲です。2つのハイハットを駆使するマーカス(1つは超小型で、見た感じ金属製のカスタネットのようにも見えます)が神技というべきフット・ワークで魅了し、チックはピアノの全音域を使い切るかのように雄弁なソロを聴かせました。

オーラスは、ちょっとシンフォニックな前奏から始まりました。やがてマーカスがサンバとマーチを合わせたようなリズムを打ち出し、さらにしばらくしてからアヴィシャイが躍動的なベース・ラインを奏でます。"新しくアレンジされているが、これはひょっとして、あの大定番ではないか?"というようなザワザワした空気が客席に広がってゆくのを見計らったかのように、チックは短いメロディアスなフレーズを弾き、それをオーディエンスに歌うように誘いかけます。ピアノと歓声のコール&レスポンスが一通り演じられた後、あの超有名なユニゾン・フレーズが出て、ようやく「Spain」のメロディへと移行します。じらしにじらして、ついに飛び出した名曲の名旋律。客席の熱狂が最高潮に達したことはいうまでもありません。

チックは「Spain」のほかにも、数えきれないほどの"切り札"を持っています。今回の公演にセットリストはありません。いったい何が飛び出すか、それを楽しみに、期待に胸を膨らませながらライヴに駆けつけていただきたいと思います。公演は17日まで、さらにチックは10月19日から12月11日にかけて「ブルーノート・ニューヨーク」に様々なプロジェクトで長期出演します。彼はきっと、世界で最も忙しい75歳のひとりでしょう。
(原田 2016 9.16)


Photo by Takuo Sato

SET LIST

2016 9.15 THU.
1st
1. 500 MILES HIGH
2. ALICE IN WONDERLAND
3. CONTINUANCE
4. GESTURE #1
5. FINGERPRINTS
EC. SPAIN
 
2nd
1. 500 MILES HIGH
2. ALICE IN WONDERLAND
3. CONTINUANCE
4. GESTURE #1
5. TEMPUS FUGIT
EC. SPAIN

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