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SADAO WATANABE with GILAD HEKSELMAN, BEN WILLIAMS & ULYSSES OWENS Jr.

artist SADAO WATANABE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


重鎮ピアニスト、ケニー・バロンを迎えた公演からちょうど1年。渡辺貞夫がジャズの楽しさと奥深さを、今年も「ブルーノート東京」に響かせています。

今回の共演メンバーは、渡辺の近作『カム・トゥデイ』『イントゥ・トゥモロー』にも加わっているベン・ウィリアムス(ベース、1984年生まれ)、"ニュー・センチュリー・ジャズ・クインテット"で東京JAZZに出演経験があるユリシーズ・オウエンスJr.(ドラムス、1982年生まれ)、そしてイスラエル出身の逸材ギラッド・ヘクセルマン(ギター、1983年生まれ)です。ギラッドとは今回が初顔合わせ。渡辺はCDを聴いてすっかり惚れ込んでしまい、共演のオファーを出したそうです。

オープニングは1985年にリリースされたアルバム、『Tokyo Dating』のタイトル曲。つまりバックの3人が生まれた頃に発表されたナンバーということになります。が、全員の息は早くもぴったりです。豊かな生音を響かせる渡辺のアルト・サックス、深いリヴァーブのかかった音色でコードや単音に個性を発揮するギラッド、躍動的なベース・ラインを奏でるベン、繊細なシンバル・ワークでサウンドをひきしめるユリシーズが、心地よいスウィング感を提供します。「Episode」は、1976年の名盤『アイム・オールド・ファッション』に収められていたナンバー。そこではフルートによる熱演を聴くことができましたが、今日はアルト・サックスでのパフォーマンスです。芸術に年齢の話を持ち込むのは野暮ですが、83歳の奏者が吹いているとは思えない瑞々しいトーンに、耳が釘付けになります。

「Lopin'」は、渡辺貞夫が最も影響を受けたアルト・サックス奏者の一人で、かけがえのない親友でもあった故チャーリー・マリアーノが書いたファンキーな楽曲。2005年に録音された二人の共演盤『Sadao & Charlie Again』に入っていたナンバーですが(ピアノはボブ・ディーゲン)、今回はピアノのかわりにギターが入っているためか、よりインティメット(親密な)印象を受けました。

ラスト・パートは、熊本地震の被災地や被災者の復興への思いを込めた「花は咲く」。渡辺はメロディをまったくといっていいほど崩さずにストレートに吹きますが、そこにギラッドが洒落たハーモニーをつけることで、聴きごたえのあるジャズに仕上がりました。4人は、この曲のリフレインからごく自然に、チャーリー・チャップリン作「Smile」へと続けていきます。親しみやすいメロディと心地よいリズムは、会場を埋め尽くしたオーディエンス全員に"スマイル"をもたらしたことでしょう。会心のライヴは4日まで続きます。
(原田 2016 7.1)

SET LIST

2016 7.1 FRI.
1st
1. TOKYO DATING
2. PLUM ISLAND
3. BUTTERFLY
4. EPISODE
5. DEEP IN A DREAM
6. LOPIN'
7. SONG OF MAY
8. LIFE IS ALL LIKE THAT
EC1. HANA WA SAKU
EC2. SMILE
 
2nd
1. WARM DAYS AHEAD
2. TREE TOPS
3. I MISS YOU WHEN I THINK OF YOU
4. MOOSE THE MOOCHE
5. MY FOOLISH HEART
6. SIMPATICO
7. CHEGA DE SAUDAGE
8. LIFE IS ALL LIKE THAT
EC1. HANA WA SAKU
EC2. SMILE
EC3. YOU BETTER GO NOW

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