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LISA SIMONE @COTTON CLUB

artist LISA SIMONE

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 偉大なミュージシャンの二世と聞くと、一度はその血筋を確かめてみたくなるもの。それが、今、ドキュメンタリー映画やそれに関連したトリビュート盤などで再び注目を集めるニーナ・シモンの娘とくればなおさらだ。

 リサ・シモンは、ニーナと父アンドリュー・ストラウドの間にリサ・セレステ・ストラウドとして生まれた。少女時代には奔放な母に翻弄される日々が続き、一度は離別したものの、今ではレイラ・ハサウェイらと「ドーターズ・オブ・ソウル」というソウル偉人を親に持つ娘たちのグループで活動するなど二世であることに誇りを持ち、母が永住の地に選んだフランスに住むほどである。

 そのフランスで制作した最新アルバム『My World』を携えての来日公演。新作のレコーディング・メンバーであるエルヴェ・サム(ギター)、レジー・ワシントン(ベース)、ソニー・トゥルペ(ドラムス)を丸ごと引き連れてのショウは、アルバムの世界を濁りなく伝えようというもの。レパートリーも新作からの曲が大半だ。が、ステージは、アルバムから受ける"アコースティックで内省的"という印象もありつつ、序盤から体を揺らしたくなるほどファンキーなグルーヴで攻め立ててくる、良い意味で予想を裏切る展開に。

 日本公演は今回が初めてだが、母ニーナが73年に来日した際、当時11歳だったリサは日本の地を踏んでいる。そんなことを話して歌い始めたのが、前作『All Is Well』(2014年)でカヴァーした"Ain't Got No-I Got Life"。かつて母が逞しい声で歌っていた名曲を圧倒的な声量で力強く歌い倒すリサはブロードウェイ・ミュージカルとして活躍していた頃の姿を想像させるようで、観る者をグイグイと自分の世界に引き込んでいく。その歌には、母譲りの凄みと、母とは異なる軽やかさがある。ニーナの名曲は新作で取り上げた"If You Knew"も歌ったが、これや"This Place"といった母との繋がりを謳ったバラードでも熱は冷めない。ジャンプ・ナンバーの"Hold On"で繰り出すシャウトなどは、まるでファンク・ディーヴァだ。

 バンドも白熱のパフォーマンスで、各メンバーのソロも随所に挿入。アルバムのプロデューサーでもあるエルヴェ・サムはアコースティック・ギターで強靭な音を放ち、ロイ・ハーグローヴのRHファクターでもお馴染みのレジー・ワシントンは曲ごとにエレキ・ベースとウッド・ベースを持ち替え、"Expectations"ではディープに歌うリサを先導するようにCDの何倍もの迫力で極太(エレキ・)ベースを披露。ソニー・トゥルペのドラム・ソロ・タイムでは客席から掛け声が飛び交った。

 アンコール前に歌ったリズム・ナンバー"Unconditionally"では歌いながら客席を回り、観客全員と握手。偉大なるシンガーを母に持つ娘は超一流のエンターテイナーに育っていた。
(2016 6.9)

text : 林 剛
1970年生まれ。R&B/ソウルをメインとする音楽ジャーナリスト。各所で執筆。昨年~今年出したディスクガイド(ディアンジェロを軸にした『新R&B入門』、マイケル・ジャクソンを軸にした『新R&B教室』)も好評発売中。


Photo by Y.Yoneda


●LISA SIMONE
2016 6.8 wed., 6.9 thu., 6.10 fri. コットンクラブ
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2016 6.11 sat., 6.12 sun. ブルーノート東京
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