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HIATUS KAIYOTE @GREENROOM FESTIVAL '16

artist HIATUS KAIYOTE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


2011年にオーストラリア・メルボルンで結成。プリンス、エリカ・バドゥ、テイラー・マクファーリン等から賞賛され、昨年リリースの『チューズ・ユア・ウェポン』で全世界的なブレイクを果たした(といっていいでしょう)フューチャー・ソウル・バンド"ハイエイタス・カイヨーテ"が明日25日と明後日26日にブルーノート東京で公演を行ないます。それを待ちきれないぼくは、22日には横浜・赤レンガ地区で開催された「GREENROOM FESTIVAL '16」で4人の雄姿を見ました。昨年9月に、同じ場所で行なわれた「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2015」での熱演も記憶に新しいところですが、そのときよりもパフォーマンスのスケール感が増し(とくにヴォーカルのネイ・パーム)、日本のオーディエンスとのコミュニケーションもより親密になっているような印象を受けました。

出演位置は、ハナレグミの次、大トリ(ネイが敬愛する超大御所、チャカ・カーン)の前という絶妙なポジション。前奏のあと、一定のリズムにのって1番→間奏→2番→エンディング(アウトロ)にたどりつく、いつの間にかなんとなく決まってしまったポップスのフォームを、ハイエイタス・カイヨーテはほとんど使用しません。CDが音飛びしたときのような"つんのめり""ねじれ"をビートに取り入れ、ネイ・パームが歌い終わった時が曲の終わり、という構成もみられます。ある意味、とてもアヴァンギャルドです。なのですが、70年代のジャズやソウル・ミュージックへの敬愛を滲ませるキーボード奏者サイモン・マーヴィンのコード(和音)使い、ポール・ベンダーのベースとペリン・モスのドラムスが作り出す決してイーヴンに流れないリズム、そして"歌"というよりも"メロディや歌詞を伴う声の表現"と形容したくなるネイのヴォーカル(箇所によっては、強烈なリヴァーブがかかりました)が一体となって、新鮮きわまりないグルーヴを生むのです。これは何拍子なのだろう?などと考える間もなく、体が動き出します。オールスタンディングの会場を埋め尽くしたファンもドリンク片手に、思い思いに体を揺らしてリズムをとっています。「Nakamarra」、「Laputa」といった定番から新曲までがバランスよく配された約45分。ステージが進むにつれてあたりがだんだん暗くなり、橋の上に満月が浮かび上がりました。「なんてアメイジングな光景なの!」と、MCパートでネイ・パームは感極まったように言い放ちました。

この日、横浜に集まったファンは誰もが「もっとハイエイタス・カイヨーテの曲をライヴで聴きたい、知りたい」と思ったことでしょう。明日から始まるブルーノート東京でのステージは演奏時間も長め、いうまでもなく室内で座席あり、よりじっくりとバンド・パフォーマンスや楽曲に集中するにはもってこいです。アウトドアにもインドアにもばっちり対応できるハイエイタス・カイヨーテの、ポップでアヴァンギャルドで奥の深い世界を、じっくり堪能していただけたらと思います。この原稿を書いている時、「SUMMER SONIC 2016」初登場という情報が入ってきました。どこまで登りつめるのか、ハイエイタス・カイヨーテ。4人の躍進に、どこまでもついていきたい気分です。
(原田 2016 5.24)

Photo by Tsuneo Koga

●HIATUS KAIYOTE
2016 5.25 wed., 5.26 thu. ブルーノート東京
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