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LISA ONO -The sound of Brasil & pop hits of the world-

artist 小野リサ

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


4月30日のインターナショナル・ジャズ・デイに"ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ"のスペシャル・ゲストとしてベニー・ゴルソン、土岐麻子と共に招かれた小野リサが、最新アルバム『Dancing Bossa』を携えて昨日から待望の単独公演を行なっています。

今回のライヴ・タイトルは"The sound of Brasil & pop hits of the world"。世界のあらゆるところで親しまれてきたナンバーの数々を、腕によりをかけたアレンジとパフォーマンスでお届けしようというものです。小野リサというと、即座に、ギターを弾きながらボサノヴァを歌う姿を思い浮かべるファンも多いことでしょう。しかしオープニングの「Lover Come Back To Me」、続く「Hanky Panky」ではギターを弾かずヴォーカルに専念します。ビリー・ホリデイやエラ・フィッツジェラルドなど数々の伝説的ミュージシャンがとりあげた前者は1930年に作曲されたナンバー。4ビートのスウィンギーなアレンジにのって、小野リサは快調に歌い綴ります。後者は1966年に"トミー・ジェイムス&ションデルズ"が全米ヒット・チャートの1位に送り込んだR&B調の楽曲。ファンキーなサウンドと、小野リサの歌声の相性の良さに驚かされました。

ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」では第1コーラスを日本語で歌い、マイク・ザッチャーナックのミュート・トランペットとビル・カントスのキーボード(ヴィブラフォンの音を出していました)が軽やかなアンサンブルを奏でます。続いては3拍子の「Que Sera Sera」。いろんなタイプの曲を楽しませた後に、いよいよボサノヴァの決定版「Garota de Ipanema」と「Desafinado」のメドレーが登場します。元タニア・マリア・バンドのジョン・ペーニャのベース、セルジオ・メンデスとの共演も名高いマイケル・シャピーロのドラムスとパンデイロも躍動感たっぷり。そしてビル・カントスはキーボードのほかアコースティック・ピアノでも魅了します。切れの良いタッチ、巧みなヴォイシング(ハーモニー)。バック・ヴォーカル(とにかくハモリが巧い!)も見事です。助演を超えた活躍。あらためて彼の持つ深い"音楽力"を感じました。

プログラム後半ではカントスのピアノだけをバックに、「Look to the Rainbow」が披露されました。かつてダイナ・ワシントン等が歌い、'60年代にはアストラッド・ジルベルトがボサノヴァ調のアレンジでリバイバルさせたナンバーです。この曲をスロー・テンポでじっくり、歌詞をかみしめるように歌う小野リサ。音が消え去って少ししてから、怒涛のような拍手が沸き起こりました。つまり観客は皆、我を忘れて、この美しいバラードの世界に酔いしれていたということです。公演は9日まで続きます。
(原田 2016 5.7)

※上記に書かれているセットリストは初日公演のものです。
公演2日目以降、演奏曲が変更になることもございますので、ご了承ください。


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2016 5.6 FRI.
1st & 2nd
1. LOVER COME BACK TO ME
2. HANKY PANKY
3. KOI NO FUGA
4. QUE SERA SERA
5. GAROTA DE IPANEMA ~ DESAFINADO
6. DINDI
7. GOODY GOODY
8. I'M BEGINNING TO SEE THE LIGHT
9. MAS QUE NADA
10. ROCK AROUND THE CLOCK
11. ONE WAY TICKET
EC1. LOOK TO THE RAINBOW
EC2. ULTIMA BATUCADA

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