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KAMASI WASHINGTON

artist KAMASI WASHINGTON , RONALD BRUNER Jr.

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


とうとう、この日がやってきました。個人的には赤飯とケーキで思いっきり祝いたい気持ちです。テナー・サックスの星、カマシ・ワシントンがついに自身のグループで来日しているのです! もっとも彼が日本で演奏するのは今回が初めてではなく、フュージョン系バンドの一員として「ブルーノート東京」に出演したのも記憶に新しいところです。それはそれで彼の職人的な側面に触れることができたという点では収穫でしたが、ぼくは正直申し上げて「カマシが十分に生かされていない」と感じました。だから今回の公演は本当に、「やった!」と跳びあがってガッツポーズをしたいくらいです。

彼のアルバムが初めて日本で紹介されたのは2012年夏のことです。『プロクラメイション』と『ライト・オブ・ザ・ワールド』の同時リリースで、ぼくが解説を担当しました。リキの入った吹きっぷり、分厚すぎる音色、尽きないアドリブ・プレイに、一目ぼれならぬ「一聴ぼれ」してしまったのですが、Kamasiというファースト・ネームの読み方が「カマシ」なのか「カメジ」なのか「ケマジ」なのかわからず、困ったことを思い出します。そこでCDの配給先を通じて発音を確認したところ、「カマシで問題なし」との答えが返ってきたのですが、とにかくいまや、「カマシ・ワシントン」のエネルギーはジャンルを軽々と飛び越え、多くの音楽ファンを魅了しています。最新超大作『ジ・エピック』(3枚組)を、今年のベスト・アルバムのひとつに挙げる方も多いのではないでしょうか。

初日ファースト・セットでは最新作からのナンバーだけではなく、『プロクラメイション』の「The Rhythm Changes」等も披露されました。メンバーのうち、キーボードのブランドン・コールマン、トロンボーンのライアン・ポーター(カマシいわく「地球上で最もソウルフルなトロンボーン奏者」)、ベースのマイルズ・モズリー(コントラバスにエフェクターを通し、ロング・ソロを聴かせました)、ドラムスのロナルド・ブルーナーJr.、ヴォーカルのパトリス・クインは10年ほど前からのバンド仲間です。気心の知れた同志と共に、じっくりと自身の音楽をはぐくんでゆく・・・そんなカマシの音楽に対する姿勢を感じたのはぼくだけではないでしょう。ドラマーにはもうひとり、トニー・オースティンも参加。2ドラムスの容赦ないあおりを受けて吹くカマシの逞しい音色が、超満員のブルーノート東京に響き渡ります。燃えるようなブロウに、熱い声援で応える若いオーディエンスたち。

自分自身の音楽が確実に日本で受け入れられていることを、カマシは全身で体感したはずです。この気持ちが、演奏に反映されないはずはありません。本日、明日と、カマシだけではなくメンバー全員のプレイがさらに白熱していくことでしょう。『ジ・エピック』からの各ナンバーも、セットごとに入れ替わり披露されるはずです。今のジャズ、いや、今の音楽の血潮を聴きのがすべからず!!
(原田 2015 10.31)

SET LIST

2015 10.30 FRI.
1st
1. CHANGE OF THE GUARD
2. ANAYA
3. HENRIETTA OUR HERO
4. FINAL THOUGHT
EC. THE RHYTHM CHANGES
 
2nd
1. ASKIM
2. THE NEXT STEP
3. ABRAHAM
4. RE RUN
EC. MALCOLM'S THEME

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