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Montreux Jazz Festival Japan 2015 / DAVID SANBORN -TIME AND THE RIVER-

artist DAVID SANBORN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


「地球上でもっとも大好きな場所、ブルーノート東京に戻ってこれてうれしいよ」。

15年ぶりにマーカス・ミラーのプロデュースで発表した新作『タイム・アンド・ザ・リヴァー』も大好評。アルト・サックスのカリスマ、デヴィッド・サンボーンが昨日から満場のオーディエンスを熱狂させています。ワン&オンリーの音色と"泣き"のプレイでフュージョン黄金時代を牽引した彼も、この7月で70歳を迎えました。しかし力強いサウンドとスリムな容姿は往年と変わることがありません。

オープニングは「Comin' Home Baby」。オルガンのリッキー・ピーターソン、ギターのニック・モロックといった"サンボーン・ファミリー"と呼ぶにふさわしい面々が充実したプレイを聴かせ、サンボーンはハイ・ノート(高音)を交えながら空間を切り裂くようなソロを演じます。パーカッションには日本を代表する名手、岡部洋一が参加。コンガ、トライアングル、タブラ、カウベル等を駆使しながら、きめ細やかなプレイでバンド・アンサンブルを陰影豊かなものにしていました。

新参加のドラマー、クリス・コールマン(ブルーノート東京には、リー・リトナーのバンドでも登場しています)のプレイは"超強力"の一言に尽きます。格闘技選手のようなルックスから放たれる一打一打が重量感とスピード感にあふれ、ソリストをぐいぐいと煽り立てます。しかも大変なショウマンシップの持ち主でもあり、つまり"見せる""聴かせる""沸かせる"の三拍子を揃えた存在なのです。サンボーンの大の十八番である「Maputo」の途中で、リッキーのシンセサイザーと繰り広げたデュオ・パートは、確実にこの曲に新たな魅力を加えていました。

クリスと岡部の掛け合いが挿入された「Camel Island」の後、いよいよ新作からのナンバーが登場します。ここ数年のサンボーンの公演はヒット・パレード的選曲で行なわれていたので、ひときわ新鮮な印象を受けました。なかでも、しっとりとメロディを歌いあげる自作曲「Ordinary People」は個人的に最もライヴで聴きたかったナンバーだけに、セットリストに入ったのは本当に嬉しい! と同時に、今後のステージでは、どんな新作からのナンバーが聴けるのか楽しみになりました。ラストは大定番のバラード「The Dream」。"すべての日本のファンに、この曲を捧げたい"と前置きしてからのサンボーンの吹奏は、まるでヴォーカリストが絶唱するかのようでした。公演は22日まで続きます。
(原田 2015 10.20)

SET LIST

2015 10.19 MON.
1st & 2nd
1. COMIN' HOME BABY
2. MAPUTO
3. CAMEL ISLAND
4. ORDINARY PEOPLE
5. SPANISH JOINT
6. RUN FOR COVER
EC. THE DREAM

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