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CHRISTIAN SCOTT ATUNDE ADJUAH

artist CHRISTIAN SCOTT , ELENA PINDERHUGHES

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ハイエイタス・カイヨーテ、ロバート・グラスパー、ロベルト・フォンセカと"旬"を立て続けに紹介している「ブルーノート東京」。昨日からはクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーのステージが始まっています。痛快無比なトランペット奏者であり、バンド・リーダーとしても超一流(これまでマシュー・スティーヴンス、アーロン・パークス、ジェマイア・ウィリアムスといった逸材を輩出しています)、作曲家としてもとてつもない才能の持ち主であることはCDを聴けば直ちにわかることでしょう。そのスコットが待望のニュー・アルバム『ストレッチ・ミュージック』を携えて、最新ユニットと共に日本を訪れているのです。ぼくもわくわくしながら客席への階段を降り、メンバーの登場を待ちました。

オープニングは「Twin」、そして新作の1曲目「Sunrise in Beijing」。スコットの表情は精悍そのものです。ベル(朝顔)が上向いたトランペットは彼のトレードマークといってよいでしょう。ベルの真正面にマイクをおくだけではなく、ドラムの前にも低い位置でマイクを立てています。そして時折、背中を曲げ、そのマイクにおおいかぶさるようにトランペットを吹きます。フレーズや音色だけではなく、その一挙一動がかっこいいのです。メンバーのうちローレンス・フィールズ(ピアノ)とクリストファー・クリス・ファン(ベース)はスコットを追っているリスナーにはおなじみでしょう。ドラムスのジョー・ダイソンは、7月にオルガン奏者ロニー・スミス、8月にアルト・サックス奏者ドナルド・ハリソン(スコットの叔父)のバンドでも来日している超売れっ子です。他のメンバーは24歳のブラクストン・クック(アルト・サックス)、21歳のドミニク・ミニックス(ギター)、20歳のエレナ・ピンダーヒューズ(フルート)。「エレナのようなサウンドでフルートを吹いた者は、これまで誰もいないはずだ」とスコットはMCで言いましたが、確かにトランペットやサックスの熱いサウンドと涼し気なフルートの調和には、癖になるような魅力があります。またダイソンは曲によってエレクトリック・ドラムスも使いながら、すさまじいポリリズムを生み出していました。これを聴くと、「年長ミュージシャンのバンドでは、やはり相当パワーを抑えていたのだな」と思わざるを得ません。クライマックスというべき最終曲「K.K.P.D.」は旧作『イエスタデイ・ユー・セッド・トゥモロウ』からのナンバー。ギターが荒れ狂い、泣き叫ぶようなトランペットの響きがフィーチャーされます。演奏を終えた帰り、銃を持った9人の警察官に追いかけられ、車から引きずり出された自身の経験をもとに、彼はこの曲を書きました。「ここでシリアスな話を聞いてもらいたい。アメリカでは警察による黒人への暴力が後を絶たないんだ」と前置きしてから、スコットは厳しい表情でプレイにとりかかりました。

途中、ハービー・ハンコックが'60年代に書いた「Eye Of The Hurricane」をカヴァーするなど、古典的なモダン・ジャズにも抜きんでた実力を発揮した約80分。少し気が早いかもしれませんが、今年のベスト・ライヴのひとつに挙げたいほど至高のパフォーマンスでした。そしてスコットに限らず全員の演奏が、日を追うにつれてさらに充実していくに違いありません!!
(原田 2015 10.8)

SET LIST

2015 10.7 WED.
1st
1. TWIN
2. SUNRISE IN BEIJING
3. KIND OF NEW
4. EYE OF THE HURRICANE
5. K.K.P.D.
 
2nd
1. TWIN
2. SUNRISE IN BEIJING
3. PERSPECTIVES
4. WEST OF THE WEST
5. KIND OF NEW
6. K.K.P.D.
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