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ROBERTO FONSECA TRIO

artist ROBERTO FONSECA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ロバート・グラスパー・トリオの公演から早1週間が経ちました。今度はキューバ発の最新トリオ・ミュージックを、ライヴで味わう番です。

ロベルト・フォンセカ・トリオのステージが昨日から始まりました。フォンセカは1975年生まれですからグラスパーの3歳上。90年代から第一線で活動している鬼才ですが、近年の彼はますます楽想が広がり、持ち前のテクニックにも更に磨きがかかっていて、まさに"旬"という言葉に尽きる充実ぶりです。「ブルーノート東京」には数々のキューバ人ピアニストが登場していますが、壮大な建築物を思わせるスケール感を持つチューチョ・バルデス、息詰まるような緊張感をもたらすゴンサロ・ルバルカバのアプローチに比べると、フォンセカのそれはぐっとカジュアルです。1曲終わるごとに観客とコミュニケーションをとりつつ、和やかにステージを進めていく姿に接したら、誰もが彼のファンになることでしょう。

6弦エレクトリック・ベースとウッド・ベースを駆使するヤンディ・マルティネス、シンバルの位置を低めにして、上からスティックで押さえつけるように叩くドラマーのラムセス・ロドリゲスもファンにはすっかりおなじみでしょう。前回の公演では彼らのほかに弦楽器や打楽器の奏者も加わっていましたが、今回はトリオということで一層ふたりに大きなスポットが当てられていました。ピアノの音をコンピューターで加工した「Rachel」、讃美歌のような美しいメロディを持つ「Hogar Dulce Hogar」(ホーム・スウィート・ホーム)、モントゥーノ風パートも挿入しながら3人が技巧の限りをつくす「Abakua」等、どの曲も変化に富んでいます。「新しくアレンジしてみたんだ」という前置きのあとに登場したのは、古典的スタンダード・ナンバー「Besame Mucho」。ベースがしっとりとメロディをとり、後半ではキャノンボール・アダレイの名盤『サムシン・エルス』の1曲目「枯葉」のイントロ(もともとはアーマッド・ジャマルの考案)を彷彿とさせるフレーズも飛び出しました。

熱狂的な拍手にこたえ、「いつまでも演奏していたいけれど、セカンド・セットの開演が迫っているからね」といいながらフォンセカは「Lo Que Me Hace Vivir」(2009年のアルバム『Akokan』収録)にとりかかります。途中、無伴奏ソロ・ピアノのパートがあったのですが、これもまた圧巻でした。左手で一定のパターンを繰り返しながら(オスティナート)、右手では何かにとりつかれたように神秘的なフレーズを次から次へと生み出すフォンセカ。充実のパフォーマンスは本日も行なわれます。
(原田 2015 10.5)

SET LIST

2015 10.4 SUN.
1st & 2nd
1. COMSUMATUM
2. ESPERANZA
3. RACHEL
4. HOGAR DULCE HOGAR
5. ABAKUA
6. BESAME MUCHO
7. LA QUE ME HACE VIVIR
EC. ASERE MONINA BONGO

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