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STANLEY CLARKE

artist BEKA GOCHIASHVILI , STANLEY CLARKE

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


リターン・トゥ・フォーエヴァーでの偉業、ジェフ・ベックとのバンド結成、故ジョージ・デュークとの"クラーク=デューク・プロジェクト"、マーカス・ミラーやヴィクター・ウッテンと組んだ"SMV"、上原ひろみとの共演、『スクール・デイズ』をはじめとする数えきれないほどのソロ・アルバム・・・・10代で華やかにデビューしてから現在までの40数年間、スタンリー・クラークは常に陽の当たる大通りを歩き続けてきました。そしてベースという楽器の可能性を押し広げました。脇役であった楽器を、主役に押し上げた功労者のひとりです。

今回の公演でも、クラークはリード楽器としてのベースの醍醐味を味わわせてくれます。ステージにはエレクトリック・ベースも置かれていましたが、ぼくが見た初日のセカンド・セットはすべてウッド・ベースでプレイされました。エフェクターを操作しながら、リヴァーブをたっぷりかけた音で弓弾き、スラッピング、コード弾き、ハーモニクス、目にもとまらぬほどの速弾き等を駆使してロング・ソロを繰り広げるいっぽう、サポートに回るとどの楽器よりも大きくミキシングされた重厚な低音を響かせます。「ウッド・ベースでもこういう表現ができるんだ」と多くのファンが印象を新たにしたに違いありません。

オープニングは盟友へのトリビュートでもあるのでしょう、ジョージ・デュークの書いた「Brazilian Love Affair」です。先日の「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN」ではインコグニートがとりあげていましたが、クラークはこれをインストゥルメンタルで演奏します。ジョージア(旧グルジア)生まれのベカ・ゴチアシュヴィリが弾く流麗なアコースティック・ピアノと、ロサンゼルス出身のキャメロン・グレイヴスのシンセサイザーが卓越したソロを演じ、それをテキサス州ダラス出身のマイケル・ミッチェルのドラムスが煽ります。激しいアクションを伴った叩きっぷり、なんともいえずタメの利いたリズム・ワークは、鬼才ロナルド・ブルーナーJr.の後任にふさわしいと言ってよいのではないでしょうか。

2曲目は伝説のサックス奏者、ジョー・ヘンダーソン作「Black Narcissus」。クラークとチック・コリアは70年代初頭、ヘンダーソンのバンドで初めて知り合いました。そして意気投合し、リターン・トゥ・フォーエヴァーを結成するのです。この曲はスタンリーにとって、とりわけ思い出のつまったナンバーなのかもしれません。キャメロンがシンセサイザーからマリンバのような音を出し、叙情的なソロを演じました。

続いてはハリウッド生まれのシンガー、ナターシャ・アグラマが登場します。あの天才ピアニスト、オースティン・ペラルタ(彼の急死は、2010年代の音楽界の計り知れない損失だと思います)との共演で知られる彼女がナマで見られたことも、ぼくにとっては大きな喜びでした。曲はエリカ・バドゥの「The Healer」。豊かな歌声、乗りの良さ。ぜひ彼女の単独公演を、と切望したくなるほど充実したパフォーマンスでした。

ラストは、セカンド・ソロ・アルバム『Journey To Love』に初演が収められている「Song To John」。2部構成になっている組曲風のナンバーです。レコードに入っている演奏は10分ほどでしたが、この日のライヴではおそらくその4倍の長さがあったと思います。各メンバーが技巧の火花を散らす、文字通りの熱演。最後の音が消えた後、客席からは深いため息とともに割れんばかりの拍手が巻き起こりました。公演は3日まで続きます。
(原田 2015 10.1)

SET LIST

2015 9.30 WED.
1st & 2nd
1. BRAZILIAN LOVE AFFAIR
2. BLACK NARCISSUS
3. THE HEALER
4. SONG TO JOHN Part 1
5. SONG TO JOHN Part 2

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