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KYLE EASTWOOD

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


演奏ぶりも、MCも、人柄も、"ナイスガイ"の一言に尽きます。

あのクリント・イーストウッドを父に持つサラブレッド、カイル・イーストウッドが今年も日本のファンの前に颯爽とした姿を見せています。近日、国内発売される最新作『Time Pieces』からの曲を中心としたステージです。

このアルバムはカイルにとってある意味、原点回帰的な作品です。彼は幼いころから父親の所有しているジャズ・レコードを聴いてきました。その中で最も印象に残ったのが、ホレス・シルヴァー、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター等が吹き込んだブルーノート・レコードのアルバムでした。『Time Pieces』には、そうした往年のモダン・ジャズに対するオマージュもこめられています。

リー・モーガンが1964年にヒットさせた「ザ・サイドワインダー」を現代の感覚で蘇らせたかのような「Prosecco Smile」から、ライヴは始まりました。ダンサブルなビート、ブレイク(他のミュージシャンが休む)部分で登場するベース・ソロ、さりげない転調などなど、"カイル流ファンキー・ジャズ"の世界が目前で広がります。続いては10数年間演奏し続けている「Big Noise from Winnetka」(ボブ・クロスビー楽団のカヴァー)が登場しましたが、以前と違ってカイルはこの曲を最後までプレイせず、最新作からの「Bullet Train」へとノンストップで続けます。60年代のモダン・ジャズのスタイリッシュな部分を取り入れた音作りは、楽器編成が同じということもあるのでしょうか、ぼくはハイ・ファイヴやファイヴ・コーナーズ・クインテットの音作りを思い起こしました。

ステージ後半ではアップライト・ベース(Czech-ease road bass)からエレクトリック・ベースに持ち替えて、父親が監督した映画『硫黄島からの手紙』の主題曲「Iwo Jima」やラテン色濃厚な「Caipiriniha」も演奏。ラストは敬愛するホレス・シルヴァーのカヴァー「Blowin' the Blues Away」で締めくくりました。とあるインタビューで「新作のツアーを終えたら、しばらく映画音楽の作曲に専念することになるだろう」と語っていたカイル。彼の考えるジャズ、そしてベース・プレイをぜひ、至近距離で満喫してください!
(原田 2015 9.9)

SET LIST

2015 9.8 TUE.
1st
1. PROSECCO SMILE
2. BIG NOISE~BULLET TRAIN
3. MARRAKECH
4. PEACE OF SILVER
5. IWO JIMA
6. UNE NUIT AU SENEGAL
EC. BLOWIN' THE BLUES AWAY
 
2nd
1. PROSECCO SMILE
2. BIG NOISE~BULLET TRAIN
3. MARRAKECH
4. PEACE OF SILVER
5. IWO JIMA
6. SONG FOR YOU
7. CAIPIRINHA
EC. BLOWIN' THE BLUES AWAY

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