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ORGAN SUMMIT featuring Dr. LONNIE SMITH, KANKAWA, DAISUKE KAWAI & AKIKO TSURUGA

artist Dr. LONNIE SMITH , KANKAWA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ドクター・ロニー・スミス、KANKAWA、河合代介、敦賀明子。4名の凄腕が一堂に会するスペシャル・プログラム、オルガン・サミットが昨日から開催中です。

ロニーは去る7月3日、満73歳になりました。日本で誕生日を迎えるのは初めてとのことで、ファンからの熱狂的な歓待を受けて気分がますます乗っているのでしょう、この日も快調そのもののプレイで楽しませてくれました。緑のシャツ、黒のベスト、キラキラのネックレス、そして黒のターバン。おしゃれな彼は、今日もファンの耳と目に訴えます。

オープニングはロニー、ギターのジョナサン・クライスバーグ、ドラムスのジョー・ダイソンのトリオによる「Mellow Mood」。近年のロニーの十八番ですね。ガトー・バルビエリの「ラスト・タンゴ・イン・パリ」とジーン・アモンズの「ジャングル・ストラット」を足して割ったような、覚えやすいメロディを持ったナンバーです。2曲目からはここに、ゲスト・オルガン奏者がひとりずつ登場します。最初に現れた敦賀明子は、ルー・ドナルドソンのバンドでロニーとは先輩・後輩の関係にあたります。もちろん良い友人同士でもあり、ロニーは彼女のプレイに「まるで花が奇麗に咲き、鳥が羽を広げて音楽の世界に導いてくれるようだ」という賞賛のコメントを寄せています。曲目は「Sweet And Lovely」。2台のオルガンが一体となってスウィングする、心あたたまる演奏でした。

つづいては河合代介が登場。ぼくはトーキョーズ・クーレスト・コンボや吉田美奈子のライヴで彼の演奏を聴き、「なんてセンスのいいオルガン奏者なのだろう」と感嘆したものですが、この日はジャズ・プレイヤーとしての底力をたっぷり味わわせてくれました。ブルースっぽいのだがブルースではない「Willow Weep For Me」という選曲も、ロニーと河合の持ち味を際立たせていました。さらにステージはスーツ、ネクタイ、帽子、サングラスでキメた大ベテラン、KANKAWAとロニーの共演へと続きます。KANKAWAはこれまでジミー・スミス、ジャック・マクダフなど数多くのレジェンドとオルガン・バトルを繰り広げてきました。ディープな音色で「Summertime」を奏でるKANKAWAに、ロニーが優しく和音を添えます。途中からドラムスが8ビートを刻みだすと、ファンキー度がさらに増します。重量級のオルガン名勝負といえましょう。

続いてはいよいよ、全員総出のプレイが始まります。ステージには3台のハモンド・オルガンが並び、向かって左のオルガンは敦賀と河合が交互に演奏します。真ん中はもちろんロニー、上手側にはKANKAWAが位置します。ロニーの「音の出る杖」によるデモンストレーションに続き、まずはファンク調、続いて4ビートのブルース・コードによるジャム・セッションが行なわれました。「果たして収拾がつくのか、永遠に続くんじゃないか」と思われるほど奔放なパフォーマンスが続きました(7月4日がアメリカ独立記念日ということもあるのでしょう、ジョナサンは「アメリカ国歌」のメロディをプレイに織り込みました)が、そこはプロ中のプロだけあって、ロニーの指示ひとつでピタッと歯切れよく演奏はエンディングを迎えます。スタンディング・オベイションを送る観客と、それにこたえるミュージシャンたち。双方の笑顔がステージの成功を雄弁に物語っていました。このオルガン・サミットは本日も行なわれます。
(原田 2015 7.5)

SET LIST

2015 7.4 SAT.
1st
1. BACKTRACK
2. THE WHIP
3. FRAME FOR THE BLUES
4. SOFTLY
5. CARAVAN
EC. PLAY IT BACK
 
2nd
1. MELLOW MOOD
2. SWEET AND LOVELY
3. WILLOW WEEP FOR ME
4. SUMMERTIME
5. PLAY IT BACK
EC. THE WHIP

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